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マーケター必読!with/afterコロナ時代のコマース対策の盲点 コロナ禍で急加速するeコマースの現状とプライバシー保護との向き合い方

マーケター必読!with/afterコロナ時代のコマース対策の盲点 コロナ禍で急加速するeコマースの現状とプライバシー保護との向き合い方

渡辺 大吾

この度のコロナ禍によりデジタル化は加速し、多くの企業はeコマース、CRM、コンテンツへの長期的投資が必要だと感じています※1。 特にeコマースの強化は喫緊の課題として多くの企業が取り組んでいます。その成功のカギがデータの有効活用です。そして、データ活用で避けて通れないのが個人情報保護への対策です。

欧州のGDPR、ケンブリッジ・アナリティカとFacebookのユーザーデータの不正取得、AppleやGoogleのCookieへの対応、世界的企業のデータ漏洩、アメリカでのCCPAの施行、日本での改正個人情報保護法、TikTokの情報漏洩懸念など昨今、個人情報保護関連の話題を耳にする機会も多くなってきました。
データプライバシーの対応を誤った事例をみると、広範囲かつ長期的にビジネスへインパクトを及ぼしていることが分かります。

ここではマーケターがおさえておくべき、データプライバシーの浸透により想定されるマーケティングへの思わぬ影響と、消費者意識の変化がもたらすビヘイビアについて考えていきます。後述しますが、日本と世界では個人データに対する消費者意識が異なるため、売り上げに直結するeコマース戦略を推し進めるうえで、この点も加味した対策とプランニングが必要です。

世界各国で次々と個人情報保護法が制定されている現状

まず、世界の保護法に関する流れを見てみましょう。そもそも消費者の9割がデータプライバシーは無条件に付与される権利だと考えています※2

この権利を守るために、2018年5月に施行された欧州の一般データ保護規則(GDPR)、2020年1月に施行された米国カリフォルニア州の消費者プライバシー法(CCPA)、アルゼンチン個人データ保護法(PDPA)、ブラジル一般データ保護法(LGPD)、インド個人情報保護法(DPA)、中華人民共和国サイバーセキュリティー法、オーストラリア連邦プライバシー法(OAIC)、日本では2020年6月に個人情報保護法の改正案の成立など、世界中で新たな保護法が次々と成立しています。新保護法ではデータプライバシーの主導権は消費者にあるとしており、企業におけるデータ活用は消費者の意思決定に大きく左右されることになります。

これまで企業は大量の消費者データを自由に取得して活用してきましたが、今後は、消費者がデータ提供の決定権を持ち、企業に対し個人データの利用目的、使い方や管理方法の開示要求、データ提供の拒否、削除できるようになります。

つまりマーケターは、消費者の意思決定次第で大量のデータを期待できる一方、データを失う危険性があることも心にとめておく必要があります。

データプライバシーの責任は誰にあるのか?

データプライバシーの責任は誰にあるのか?

日本と世界では消費者のデータプライバシーに関する考え方に違いがあります※3。「データプライバシーの責任は誰にあると考えますか?」との質問を世界16か国の消費者にしたところ、データプライバシーは企業、テクノロジーイノベーター、個人、政府の4者の共有責任である(49%)が最も多い回答となりました。一方、日本では、データプライバシーは企業の責任である(41%)が最も多い回答でした。

日本の消費者はデータプライバシーに積極的に取り組むというより、企業にその対策、対応を求めていることが読み取れます。

また、「企業が収集可能なあなたの個人データの量について、懸念がありますか?」との質問には、回答者の大半(92%)は懸念を抱いていると回答。日本でもほぼ同じ数値ですが、そのうち「非常に懸念がある」と回答したのは日本では30%(世界では64%)でした。

この数字から日本の消費者はなんとなく不安を感じていることが分かり、原因として、個人情報に関する理解不足が考えられます。どのようなデータが取得されているのか、データ収集の目的は何なのか把握していない消費者も多いはずです。

まとめると日本の消費者意識の特徴は以下2点です。

  • データプライバシーは(消費者に責任はなく)企業の責任である。
  • 企業による個人データ取得に漠然と不安を感じている。

この2点から想定されるのは、データプライバシーに関して企業が消費者の期待を裏切ったとき、消費者から大きな反動が起こる危険性があるということです。それはデータが活用できなくなるだけでなく、社会での信頼性を失墜させ、マーケターにとって死活問題になるかもしれません。こういった事態を回避するためにデータプライバシー対策も並行して加速させる必要があります。

個人データとコネクテッド・データ戦略

日本のマーケターにとって朗報となる、日本と世界の消費者で異なる考え方がもう1点あります。それはパーソナライゼーションに対する考え方です。個人データを提供することで得られるパーソナライゼーションに価値を感じている消費者は、世界では24%にとどまる一方、日本では過半数(53%)に達します。そのうち優れた価値を得ているという回答者は、全世界でわずか15%に対し、日本では62%にのぼります※4。日本の消費者は企業から提供されているサービスに満足し、今後も大きな期待を寄せていることが見て取れます。

現在オンラインとオフライン、デバイスを跨いだシームレスなサービスはより一般的になってきています。今後5GによりIoTは加速し、AI、VR、AR、MRなどのテクノロジーの進化も相まって、消費者の期待は自然と高まり、さらなる利便性を求めるようになるでしょう。この状況に応えるように、約8割のマーケターが「コネクテッド・データ戦略の策定」が今後最も重要になると考えています※5。コネクテッド・データ戦略により、より良いユーザーエクスペリエンス、パーソナライゼーションの提供が可能になります。

企業にとってデータの重要性は明白ですが、なぜ消費者は企業にデータ提供するのでしょうか?データ提供の対価として何を望んでいるのでしょうか?調査によると、消費者はパーソナライズされた特典や価格、ディスカウント、キャッシュバック、無料サンプル、サービスの無料利用などに交換価値を感じています※6。マーケターは消費者の購買活動を促すために、消費者が個人データと引き換えにどんなメリットを享受したいのか考え、プランニングに盛り込む必要があります。個人情報に関する知識を身に着け、データの価値を把握すると、消費者は、企業から提供される対価をますます気にするようになり、ひいてはどの個人データを提供するとどのようなメリットが得られるのか都度秤にかけ、判断するようになるでしょう。

価値交換が不均衡にならないようにすることも重要です。提供した個人データの量に対してメリットが少ない場合、消費者は不満を抱きかねず、逆に少量の提供データに対し大きなメリットを得た場合、一時的に満足しますが、メリットの継続的な拡大を無意識に企業に求めるでしょう。その際、企業は相応の価値を継続して提供することができるでしょうか?マーケターは価値交換を戦略的に考える必要があります。

データ共有の考え方や寛容度は世代別でも異なります。例えば、X世代はZ世代に比べ、データ共有に対して積極的でないかもしれません。マーケターは、何を提供するとデータを共有してくれるのか自社のターゲットオーディエンスを理解し、アプローチを考える必要があります。

またパーソナライゼーションをどこまで高度化すべきか検討することも重要です。あらゆる側面で高度にパーソナライズされた体験を提供した場合、消費者はどう感じると思いますか?自身のプライバシーが丸裸にされたように感じ、逆に不快感を覚えるかもしれません。

マーケターは、eコマースを成功に導くためのone to one コミュニケーションを築くため、データの適切な取得方法と活用方法を多角的な観点から検討し、戦略的に取り組んでいく必要があります。

カルチャー・トランスフォーメーションの重要性

最後に、あまりにも基本的なため盲点となりやすいカルチャー・トランスフォーメーションの重要性について考えます。

コロナ禍により加速するDX(デジタル・トランスフォーメーション)を成功させるうえで、マーケターは上述の「コネクテッド・データ戦略策定」が重要な要素だと考えています※7。一方で、重要要素であるにもかかわらず軽視されていると考える要素として「明確なカルチャー・トランスフォーメーション戦略の策定」を挙げています※8。ハード面を偏重しソフト面を偏軽する傾向のある企業では、マーケターは自身のプランを実行するにあたり多くの壁に阻まれることになります。往々にして、組織横断の取り組みが難しく、組織の全体最適化より部署最適化が優先され、戦略変更も柔軟に行えないなど、しなやかさが失われています。

厳しくなる個人情報保護法による規制に対応するには、組織全体での取り組みが不可欠です。安全性の高いデータ管理システムを整え、サイト上で詳細な個人情報の取り扱いに関する文書を掲載するだけでは不十分です。自社のブランドサイトのほか、公式SNSサイト、カスタマーセンター、店舗など、消費者が持つ企業との接点は多岐にわたるため、IT部署だけでなく、そのすべての接点においてデータプライバシーに関する知識を持ち、消費者からの要望に対応できる組織横断の情報共有体制を整えておく必要があります。

さらにデータプライバシー=法律でなく、データプライバシー=基本的人権であり、人として侵害されるべきでないという考えと、高い倫理観を組織全体で個人レベルまで浸透させるための社内教育は不可欠です。これらの実行には企業と各個人レベルでのカルチャー・トランスフォーメーションが必要になります。

情報が簡単に拡散できる現代、消費者とのいずれかの接点で個人情報(=人権)に関する誤った対応をしてしまうと、ビジネスに甚大かつ長期的な影響を及ぼすことになります。

まとめ

企業は、日本での法整備と消費者への浸透までもう猶予はないと肝に銘じ、早急にデータプライバシー対策に着手すべきです。なぜならメディアが取り上げ、消費者が保護法における権利、そして自身のデータの価値を理解した瞬間に状況は一変するからです。

マーケターは、eコマース強化を進める際、eコマースサイト最適化、テクノロジーの選定と活用、消費者動向の理解に目を向けがちですが、同様にデータに対する価値交換戦略の検討、データを失う危険性とその予防策と事後対応策を含めた自社のデータプライバシー対策の進捗を把握しながら、マーケティング戦略を考えていく必要があります。
ある日突然データが無くなる状況に直面するかもしれません。

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※1: The Reality of Recovery: A Post COVID-19 World – アフターコロナの世界、リカバリーと実態 –
https://www.iprospect.com/ja/jp/news-and-views/insights/covid19survey/

※2,3,4,6: ブランドへの信頼 – IN BRANDS WE TRUST
https://www.iprospect.com/ja/jp/news-and-views/insights/in-brands-we-trust/

※5,7,8: Future Focus 2020 – The Next Ten Years
https://www.iprospect.com/ja/jp/news-and-views/insights/future-focus-2020/

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