2020年に入り、新型コロナウィルスの世界的大流行で多くの企業がダメージを受けています。アメリカの失業率は5月に入って世界恐慌以来、過去最悪の14.7%になったと労働省の統計で分かりました。
人々の行動様式や心理状態が大きく変化したことで、売れるものと売れないものの差が大きく開いています。今回は日本でも売上が落ち込んでいるアパレル業界のコロナ禍における対応をご紹介します。
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海やプールの閉鎖で打撃を受けている水着メーカーの事例
出典:” The Pandemic Economy: What are Shoppers Buying Online During COVID-19? – ”VISUAL CAPITALIST https://www.visualcapitalist.com/shoppers-buying-online-ecommerce-covid-19/
こちらは米国のオンラインメディアVisual Capitalistの記事で紹介されたロックダウン期間に消費者が購入している物の推移を表したグラフです。日用品や衛生用品が大きく伸びているのに対し、アパレルや旅行、レジャーグッズの売れ行きが大幅に低迷しています。グラフの注釈にはアパレル業界に対して次のようなコメントが記載されています。
「アパレル業界はCOVID19のパンデミック化以前から低迷していた。2020年1月のアパレル業界の売上は2009年の恐慌よりも下回っていた」
もともと苦戦していた業界なだけに、コロナによって更に厳しい状況になってしまったことが容易に想像できます。特に水着メーカーは海やプールの閉鎖、夏イベントの相次ぐ中止で大きな打撃を受けている状況です。
そんな状況下で、水着や部屋着のアパレルブランドSumersalt Inc.は顧客との接点を切らさないように、新しい取り組みを始めました。それは、商品とは直接関係のない、ただ顧客を喜ばせるための他愛も無いメッセージでした。
Sumersaltのブランドイメージは「Joyful」と「Sunny」。誰もが厳しい情勢下で、顧客を晴れやかで楽しい気持ちにさせるためにはどうすればいいかと原点に戻って考えた時、商品とは直接関係ないコンテンツを届けるというアイディアが生まれたそうです。
この施策では、顧客が「Joycast」とSMSで送ると、Sumersaltのチャットボットが顧客に楽しい気持ちになれる画像が送信されるようになっています。
同様に水着を販売しているSpiral Edge社のSwimOutletも4月から顧客に送るメッセージをマーケティングメッセージから人々を応援する内容に切り替えました。その中には、オリンピックで金メダルを獲得した水泳選手によるヴォイスメッセージもありました。
今、消費者へ届けるべきメッセージは「We are here for you」
本来であれば、少しでも売上につながるような施策に投資したいところですが、このような状況だからこそ、顧客の安全や健康、生活を配慮した施策に投資する施策を海外では取られています。
特によく見かけるコピーが「We are here for you(私たちはあなたのためにここにいます)」です。思うように外出できず孤独を感じている人が多い中、海外の企業は少しでも人々の支えになるようなコピーをSNSや企業サイト、広告で使っています。
アメリカではSMSが日常のコミュニケーションチャネルとして使われています。実はWhatsApp等のインスタントメッセージよりも古くからSMS主流の国なのです。企業もSMSを活用したマーケティング施策をコロナ以前から取り組んでいます。SMSが家族や友人知人とのコミュニケーションを取るプライベートなツールでもあることから、そこに送るコンテンツはメルマガやSNS投稿よりも注意が払われているのが特徴です。特に現在のようなコロナ影響下の中ではいつも以上に配慮がなされています。
Withコロナで変わる日本のマーケティング
CM.comはこのような海外のコンテンツ事情に詳しい、イギリスのコンテンツ制作会社TAMLOの石野雄一氏をお招きして、情勢を捉えた顧客コミュニケーションについて考えるセミナーを開催します。
本セミナーでは、日本に先駆けてロックダウンをした欧米がどのようなコンテンツを発信しているのか、どのようなデジタルツールを活用しているのか、日本では何ができるかについて、TAMLO石野氏と弊社中藤が対談形式で紐解いていきます。
今後のマーケティング施策の参考として、ぜひご参加ください。
<開催概要>
「Withコロナで変わる顧客とのコミュニケーション〜海外事例から戦略と戦術を学ぶ〜」
・日時:2020年6月11日(木)19時〜20時
・場所:オンライン(ZOOM)
・参加費:無料
・お申し込み:http://ptix.at/yd8Qx8
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