GoogleやYahooの検索エンジンを利用したときに、検索結果の上部にレシピや求人情報が掲載されているのを見たことがあるでしょうか。
検索結果の上位に表示されるとアクセス数を増やすことができるので、とても有効な施策です。Webマーケティングの施策としてSEOの重要性が広まっていますが、レシピや求人情報に関してはSEOとは異なった施策です。
というのも、上位に表示されているレシピや求人情報は全て、構造化マークアップが用いられているのです。
あまり聞きなれない言葉ですが、構造化マークアップを活用することで、Webサイトへのユーザーの流入増が期待できます。
そこでこの記事では、「構造化マークアップ」とは何なのか、どんな効果が期待できるのか、また実装方法から検証方法まで解説していきます。
サイト設計にも関わる施策なので、これから導入を考えている方にとっては重要なテーマです。構造化マークアップについて詳しく知りたいWeb担当者や経営者の方はぜひ参考にしてください。
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構造化マークアップとは?
そもそも構造化マークアップとは何でしょうか。簡単に説明すると、Googleのクローラーにテキスト情報やコンテンツ内容を理解しやすくさせる方法のことを意味しています。具体的に説明すると、構造化マークアップを取り入れると通常のHTMLとは異なった記述方法となります。
通常のHTMLの場合 | 構造化マークアップの場合 |
---|---|
通常のHTMLの場合は<div>で区切るのみです。そのため、ソースコードを読み込むクローラーは「ニュートラルワークス」という単語をただの文字列としか認識することができません。
しかし構造化マークアップを取り入れると、「ニュートラルワークス」という単語に公式サイトがひも付き、社名であることを理解してくれます。このように、構造化マークアップは単語に対して検索エンジンが理解できるように意味を持たせることができるのです。
この構造化マークアップという記述は、「セマンティックWeb」の考え方から生まれています。セマンティックWebが導入されることで、よりユーザーが必要としている情報を検索結果に反映できるようになりました。では、ここからはセマンティックWebについて詳しく解説していきましょう。
セマンティックWebとは
セマンティックWebとは、Webを構成するために必要なソースコードにメタデータを付加することで、検索エンジンが情報の意味を理解することを目指す考え方のことです。この考え方は、World Wide Webの考案者でもあるW3Cのティム・バーナーズ=リー(Tim Berners-Lee)氏が提唱したものです。
セマンティックWebを導入することで、検索エンジンが文字の意味、文脈、背景まで理解することが可能になります。先ほど「ニュートラルワークス」という記述に構造化マークアップを取り入れると、社名であると認識してもらえることをお伝えしました。セマンティックWebによって検索エンジンの理解が広がる例は他にもあります。
例えば、株式会社Aという会社が東京にあるとします。この情報について、「株式会社Aは東京にある」「東京に株式会社Aがある」「株式会社Aは東京を拠点としている」などと様々な言い方ができます。人間はこれらの情報を同一のものと考えることができます。
しかし、検索エンジンはこれらは文字列としか認識しないので、同じものだとはわかりません。そこでセマンティックWebの考え方を取り入れ、構造化マークアップによって記載することで、全てが同じ意味を表していることがわかるのです。
また、このセマンティックWebの考え方はGoogleのミッションとも一致しています。Googleでは「Googleの使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすることです」とミッションを掲げています。
構造化マークアップのメリット
ここまで構造化マークアップの概要やセマンティックWebの考え方について解説していきました。検索エンジンに文脈を理解させることができる構造化マークアップには、以下のように2つのメリットがあります。
- 検索エンジンに認識されやすくなる
- 検索結果にリッチリザルトが表示されることがある
ここからはそれぞれのメリットについて詳しく解説していきましょう。
検索エンジンに認識されやすくなる
1つ目のメリットは、検索エンジンに認識されやすくなることです。前述でも検索エンジンについて触れましたが、検索エンジンはweb上にあるサイトをクローラーというボットによって巡回しています。クローラーがサイトを巡回することによって、どのようなサイトがあるのか、そのサイトにはどのような情報が掲載されているかを認識します。
その際、構造化マークアップされていると、クローラーはより正確に情報を認識することができます。するとあるキーワードに関してユーザーが検索をかけた時に、構造化マークアップされているサイトが優先的に検索結果に表示されるようになるのです。
このように、構造化マークアップは、テキストに意味をもたせ、検索エンジンに伝えているいます。つまり、構造化マークアップは、検索エンジンに通常の記述よりも認識しやすくさせる働きがあるのです。
検索結果にリッチリザルトが表示されることがある
そして2つ目のメリットは、検索結果にリッチリザルトが表示されることがあることです。リッチリザルトとは、多くの視覚的な機能や操作機能を用いて表示される検索結果のことです。リッチリザルトには様々な種類がありますが、ここでは一部を紹介します。
例えば、「リッチリザルト FAQ」というキーワードで検索すると、一部リッチリザルトで表示されるものがあります。通常の検索結果であれば、タイトルとディスクリプションが表示されるだけです。
しかし構造化マークアップをしていれば、画像のように検索結果上にサイトで掲載されている質問と答えを表示させることができます。するとユーザーは知りたかった情報がこのサイトにあると簡単に認知することができ、アクセス数が増えます。
このように、構造化マークアップを用いることで、検索結果にリッチリザルトが表示されることがあります。リッチリザルトが表示されることで、検索エンジンで大きく表示されるので、他のサイトよりもクリック率向上が期待できます。
構造化マークアップのデメリット
また、構造化マークアップのデメリットをあげるとしたら、設定するのに構造化マークアップの知見とある程度の工数が必要であることです。
構造化マークアップはサイトのテキストそのものに記述するわけではなく、サイトを構成するソースコードに記述するものです。そのため、知見がない人が記述すると誤ってサイトの表示が崩れてしまうこともあります。
このように、構造化マークアップはすぐに設定できるわけではありません。目的を考え、どのような表示結果を得たいのかを決めた上で、構造化マークアップに取り組む必要があります。
構造化タグとは
構造化タグとは構造化マークアップを行う上で、必要なタグのことです。テキストをただの文字列ではなく、意味付けをすることで文脈を認識してもらうことができます。
構造化タグには様々な種類があり、一例として下記のようなものがあります。
構造化タグ | 意味 |
---|---|
<header> | ヘッダーである |
<footer> | フッターである |
<nav> | ナビゲーションである |
<section> | 見出しを付けられる文章のまとまりである |
<article> | 記事である |
<aside> | 補足情報である |
1つ目の<header>は、ヘッダーであることを表しています。ヘッダーとは、Webサイトの上部に表示される領域のことです。ヘッダーにはサイト名やメニュー、会社情報などを記載することが多いです。ヘッダーがあることによって、ユーザーは一目で何に関するサイトであるかや、企業に関する情報についてわかります。
そして2つ目の<footer>は、フッターであることを表しています。フッターとは、ヘッダーと対になる領域で、サイトの下部に表示されます。フッターには基本情報や外部サイトへの誘導を記載することが多いです。
3つ目の<nav>は、ナビゲーションであることを表しています。ナビゲーションとは、ユーザーが知りたい情報へたどり着けるように、リンク付きで示すテキストのことです。ナビゲーションを表示させることで、ユーザーが迷わずに別のページへジャンプすることができるので、サイトを回遊してくれる可能性が高まります。ナビゲーションの表示領域は決まっていませんが、フッターに記載されることもあります。
4つ目の<section>は、見出しを付けられる文章のまとまりであることを表しています。例えば企業に関するページには、「社長の挨拶」や「企業情報」が記載されることがあります。この2つを切り分けるために、<section>が用いられます。
5つ目の<article>は、記事であることを表しています。上記で紹介したセクションのさらに大きなまとまりです。それぞれのセクションが1つの記事であることを意味します。
そして6つ目の<aside>は、補足情報であることを表しています。これはメインではない内容や、テキスト中の用語解説などに使用されることがあります。
ボキャブラリーとシンタックス
構造化マークアップについて構造化タグの具体的な例を基に解説していきました。ここからは、「ボキャブラリー」と「シンタックス」という2つの用語について紹介します。これらは構造化マークアップを理解する上で重要な用語です。ここからは2つの意味について紹介していきます。
ボキャブラリー
「ボキャブラリー」とは構造化マークアップで、どんな情報なのかを定義する規格です。例えば、人名であれば「name」を使用し、住所であれば「address」を使用します。
ボキャブラリーの代表格には、schema.org(スキーマ・オルグ)というものがあります。schema.orgとはGoogle、Yahoo、Microsoftが策定を進めてきたボキャブラリーの規格のことです。Googleではマークアップの補助や、チェックを行える便利なツールなどを用意していて、HTMLの知識があれば簡単に利用できるようになりました。こうしたことから、schema.orgの利用は増えています。
schema.orgでマークアップする際には、「タイプ」と「プロパティ」を指定します。例えば人名と「name」であれば、人名がタイプであり、nameがプロパティとなります。そして同様に、住所がタイプであり、addressがプロパティです。このように設定することで、テキストの文脈をクロールが認識できるようになります。
シンタックス
一方「シンタックス」とは、実際に構造化マークアップする際の仕様のことで、HTMLに書く際の記述ルールです。Googleがサポートしているシンタックスには以下のようにいくつかの種類があります。
シンタックス | 特徴 |
---|---|
Microdata | 限定的な環境でのみマークアップが可能 |
RDFa | 環境制限がなく、広い言語でマークアップが可能 |
RFDa Lite | RDFaを簡略したもの |
JSON-LD | 設定箇所とは別に記述 |
これらのうち、Googleが推奨しているシンタックスは「JSON-LD」です。一方、W3Cが推奨しているのは「RDFa」です。W3C とは「World Wide Web Consortium」の略称で、Web技術の標準化を行う非営利団体のことです。
構造化マークアップの実装方法
ここまで構造化マークアップにおいて大切なボキャブラリーとシンタックスについて解説していきました。ここからは、実際に構造化マークアップを実装する方法について紹介していきましょう。実装方法は以下のように3つあります。
- HTML上に直接マークアップする
- 構造化データマークアップ支援ツールを利用する
- データハイライターを使う
ここからはそれぞれの方法について解説していきます。
HTML上に直接マークアップする
1つ目の方法は、HTML上に直接マークアップする方法です。先ほど紹介したシンタックスをHTML上に書き込むことで、構造化マークアップができます。シンタックスにはいくつか種類があり、そのうちMicrodata、RDFa、JSON-LDはGoogleからサポートされています。
このように、それぞれの方法でマークアップすることが可能です。ここからはそれぞれの方法について詳しく解説していきます。
Microdata
Microdata(マイクロデータ)は、HTML5でのみマークアップ可能であるシンタックスです。そのため、限定的な環境でのみ利用できることが特徴的です。記述する際は、該当箇所の近くに構造化データを記載していきます。Microdataは、通常の場合ページの本文で使用しますが、見出しでも使用できます。
Microdataで記述する際は、以下3つのプロパティで構造を定義していきます。
プロパティ | 役割 |
---|---|
Itemscope | タグの間にあるHTMLがMicrodataを含んだ要素であることを伝える |
itemtype | タイプを表すURLを指定する |
itemprop | プロパティをラベル付けする |
例えば商品A、商品Bというアイテムについて表示させる際は、下記のように記載します。
Microdataのメリットは、HTMLが一致しやすいことです。Microdata ではHTMLタグやHTML属性を使って定義するため、統一することができます。一方Microdataのデメリットは、HTML属性が多くなるため、HTMLコードが煩雑になってしまうことです。そのためメンテナンスコストがかかることがあります。
RDFa
RDFa(アールディーエフエー)は、HTMLソースコードの該当箇所の近くに構造化データを記述するというように、1つ目のMicrodataとマークアップ方法が近いです。ただし、環境制限がなく、広い言語でマークアップ可能です。
RDFaを記述する際は、下記3つのプロパティを使用して作られていきます。
プロパティ | 役割 |
---|---|
vocab | 利用する構造化マークアップの規格を定義する |
typeof | RDFaのタイプ名を定義する |
property | プロパティをラベル付けする |
例えば商品A、商品Bというアイテムについて表示させる際は、下記のように記載します。
RDFaのメリットは、XMLでも使用できることです。XMLとはインターネットで使用できるオープン規格の言語です。先ほどご紹介したMicrodataは、HTML5でしか使用できないのに対し、RDFaは幅広い言語で使用できます。一方RDFaのデメリットは、Googleの推奨ではないことです。XHTML1.1やHTML4のようなかつて使用されていた言語までも対象としているため、形式として古いです。
また、RDFaを簡略したものとしてRDFa Lite(アールディーエフエーライト)があります。RDFaは、機能的に優れているのですが、複雑で高度であるというデメリットがあります。そこでより使いやすく簡略化したものとして、RDFa Liteが登場しました。
JSON-LD(推奨)
JSON-LD(ジェイソンエルディー)は、microdataやRDFaとは記述場所が異なるシンタックスです。記述場所はHTML内のどこでも問題ありません。記述する際は、scriptタグを使用し、JSON形式で記述していきます。
プロパティ | 役割 |
---|---|
context | 利用する構造化マークアップの規格を定義する |
typeof | 型名を定義する |
propety | 型のプロパティをラベル付けする |
例えば、商品A、商品Bというアイテムについて表示させる際は、下記のように記載します。
JSON-LDのメリットは、各システムでデータを取得したり解析しやすいことです。データの取得はマーケティングにおいて重要な施策の一つなので、有効です。
さらに、CSSなどの影響を受けることが少ないので、既存のWebページに埋め込みやすいです。よくCSSの影響を受けて表示が崩れてしまうことがあります。そういった心配がないのは開発者にとっては利点です。
一方JSON-LDのデメリットは、外部ファイルにはできないことです。JSON-LDで記述する場合、scriptとして分離できるのですが、HTML内には記述する必要があります。
構造化データマークアップ支援ツールを利用する
2つ目の方法は、構造化データマークアップ支援ツールを利用する方法です。構造化データマークアップ支援ツールはGoogleが提供しているものです。
ツールに入ると、このような画面になります。下部に設置しているテキストボックスへ対象のURL、もしくはHTMLを入力します。そしてサイトのタイプを選択して、「タグ付けを開始」をクリックします。
このツールは複数のデータタイプを一度に設定することができません。そのため、複数のデータタイプの設定を行う場合は、最初から一つずつ行っていきます。
すると上記のような画面に進みます。タグを追加したい箇所をクリックし、タグの種類を選択します。完了したら「HTML」を作成に移ります。
ここから右端に「ダウンロード」と「完了」のボタンが表示されます。「完了」を押すと、ページソース内に生成した構造化データが追加され、マークアップが完了となります。そして「ダウンロード」を押すと、生成した構造化データのソースをダウンロードすることが可能です。
構造化データマークアップ支援ツールの注意点は、使用する際にはサイトをサーチコンソールと連携していなければならないことです。また、もう一つは、タグ付を行う際にツール側が自動的にテキストを区切ってしまうことです。
そのため、テキストが区切れてしまった場合は、「完了」させるのではなく、「ダウンロード」を選択してテキスト部分を修正させます。
データハイライターを使う
そして3つ目の方法は、データハイライターを使う方法です。データハイライターは、構造化データマークアップ支援ツールと同様にGoogleが提供しているものです。
先ほどのツールと同様にサーチコンソールと連携しています。しかし、こちらはHTMLの記述を変更するわけではありません。HTML に変更を加えず、構造化データの代わりにグーグルに対して情報を伝えます。
データハイライターでタグ付けできるのは、Webサイトにある次のタイプのデータです。
- 記事
- レストラン
- 映画
- イベント
- 商品
- テレビ番組のエピソード
- 地域のお店やサービス
- ソフトウェアアプリケーション
- 書籍
繰り返しになりますが、クローラーは基本的にテキストは単なる文字列として認識しています。そのため、人が認識するのと同じように文脈で記事を理解するには、構造化マークアップが大切です。
上記の例のように、カテゴリーごとに分類することによって、見当違いな検索結果を表示することを避けることが可能となります。このように、データハイライターを使用するとWebサイトの情報をより詳しく認識してもらうことができます。
構造化マークアップの例
ここまで構造化マークアップの実装方法について解説していきました。構造化マークアップが実装されたら、実際にはどのようにリッチリザルトとして表示されるのでしょうか。一例として、下記のような構造化マークアップがあります。
- パンくずリスト
- 求人情報
- レシピ
- FAQ
- 著者
- 監修者
これらの構造化マークアップが表示されることで、ユーザーの目を引くことが可能です。ここからは、それぞれの構造化マークアップの例について紹介していきます。
パンくずリスト
1つ目の例は、パンくずリストです。パンくずリストとは、ユーザーが開いているページがサイト上のどの部分に位置しているのかを表すリストのことです。一般的にはサイトの上部に設置されていることが多いです。
パンくずリストの構造化マークアップの記述例は、このようになります。こちらではサービス1とサービス2を続けて表示されています。
パンくずリストの構造化マークアップを実装し、検索結果に表示されると次の画像のようになります。
通常であれば、青枠で囲っているようにURLを区切った形で表示されます。しかし構造化マークアップすることで、ヒットしたページがどんなページであるのかがよくわかります。そのため、メリットとして、ユーザーにどんなページであるか情報が伝わりやすいです。
また、パンくずリストはクローラーにとってもどのようなサイトであるのか認識しやすくなります。構造を理解することで、そのページがどんな構成で掲載されるかをわかってもらうことができるのです。
参考:パンくずリストとは?設置方法とSEO効果、よくある質問を徹底解説
求人情報
求人情報を構造化マークアップすると、仕事を探しているユーザーの目に止まりやすくなります。構造化マークアップの例は以下です。
構造化マークアップされた求人情報は、検索結果に下記のように表示されることがあります。
求人サイトの会社のロゴや、求人内容などが、一目で詳細がわかります。通常であればヒットした求人サイトから一つずつ条件にあっているかなどを確認しなければなりません。しかしリッチリザルトとして表示されることで、条件に合っていればすぐに流入してもらうことが可能です。
ただし、求人情報は紹介している構造化マークアップの例の中でも、入れ替わりが激しい情報です。募集を終了しているなど、古い情報をリッチリザルトで掲載していると、ユーザーから不審感を抱かれてしまいます。
またGoogleからの評価も下がってしまうことがあります。すると検索結果の上位に表示されなくなってしまうこともあり得ます。そのため、求人情報を構造化マークアップする際は特に、情報を更新するように注意しましょう。
レシピ
レシピに構造化マークアップを実装すると、細かい検索に関しても検索結果に反映されやすくなるという特徴があります。記述の例としては、下記のようになります。
こうした構造化マークアップは、検索結果にてこのような表示がされることを期待できます。
こちらは「焼きリンゴ レシピ」で検索をしたときの画面です。焼きリンゴに関するレシピが数多くあるなか、構造化マークアップすることで上位表示することが見込めます。
また、例えば「レシピ キャベツ 30分」というキーワードで検索をしたとします。
すると上記の画像のような検索結果になります。ユーザーが30分で調理ができるレシピを探していたとしても、青枠のように50分かかるレシピもヒットします。
これは30分煮るというテキストでヒットしたものです。一方赤枠のレシピは、調理時間が30分のものです。このレシピは構造化マークアップをすることで、調理時間が30分であることを検索エンジンに認識してもらえました。
このように、レシピでは調理時間や材料などの情報を構造化マークアップによって記載することで、検索エンジンに正しく認識してもらうことができます。ユーザーの満足度を高めるために、構造化マークアップすることはおすすめです。
FAQ
FAQはコーポレートサイトでよく見受けられるものです。ユーザーはある疑問を抱いたときに検索をかけます。そのため、FAQはユーザーに閲覧してもらえるチャンスが多いページであるとも考えられます。
FAQに関する構造化マークアップの記述例は、こちらになります。
FAQページに構造化マークアップを実装すると、ユーザーの悩みを早く解決することが可能である場合があります。
例えば、構造化マークアップされた検索結果に、このような例があります。
「口座開設 FAQ」というキーワード検索をかけていますが、これだけではどのよう疑問を抱いているかわかりません。しかし、もしユーザーが口座開設にはどのような本人確認書類が必要なのかを知りたかった場合は、構造化マークアップによって表示されている項目によって、必要な情報が掲載されていることがわかります。
この場合プルダウンになっているので、質問のプルダウンをクリックすると、ある程度の回答を確認することができます。するとユーザーはこのページなら疑問が解決できるとわかり、クリックします。
このように、FAQはユーザーがどんな悩みを抱えているのか想定しやすいページです。構造化マークアップを取り入れることによって、クリック率を高めることを期待できます。
著者
また、構造化マークアップでは著者情報を記述することも可能です。著者情報に関する構造化マークアップの記述例に、以下のものがあります。
著者名だけでなく、記事タイトルや記事の公開日も記載することによって、検索にヒットするであろうキーワードが増えていきます。
そして、著者情報がリッチリザルトで表示されることの例として、こちらの検索結果があります。
著者の名前や画像が一度にわかるだけでなく、年代までも理解することができます。もしユーザーが著者についてもっと詳しく知りたいと思っているなら、こちらのリンクをクリックするでしょう。このように、著者情報を構造化マークアップすることで、検索結果画面にインパクトを与えることが可能となります。
監修者
また、構造化マークアップでは監修者に関する情報を記述することも可能です。Webサイトにおける監修者とは、Webサイトに掲載している記事について監督したり、指揮を取っていたりする人物のことです。
一般的に監修者は、免許を持っている人物や、権威を持っている人物が多いです。監修者に関する情報を掲載することによって、その記事に信憑性があることをユーザーに伝えることができます。
構造化マークアップの検証方法
ここまで構造化マークアップの例について紹介していきました。構造化マークアップの実装が完了したら、正しくできているか確認するために検証を行いましょう。検証方法は以下のように3つあります。
- 構造化データテストツールで確認する
- サーチコンソールで確認する
- リッチリザルトテストで確認する
ここからはそれぞれの確認方法について解説していきます。
構造化データテストツールで確認する
1つ目の方法は、構造化データテストツールで確認する方法です。これはschema.orgによって提供されているツールです。このツールは一時終了することをアナウンスされていたのですが、存続の声が多く寄せられました。そのため現在でも存続しており、利用することができます。
利用方法はとても簡単です。まず、サイトにアクセスします。
するとこのようなポップアップが表示されるので、該当のURLを入力し、「テストを実行」ボタンをクリックします。
するとこちらのような画面になります。エラーがない場合は、「エラーなし」「警告なし」といったテキストが表示されます。
一方、コードにエラーが発生している場合は、このように警告が表示されるようになっています。
例の場合では、「「}」またはオブジェクト メンバーの名前がありません」と表示されています。必要な記載が抜けているので、修正しなければならないことがわかります。
サーチコンソールで確認する
2つ目の確認方法は、サーチコンソールで確認する方法です。先ほどご紹介した構造化データテストツールは1つのURL、または1つのソースしか検証ができません。しかしサーチコンソールはサイト内の構造化データを一覧で確認することができます。サーチコンソールの検証方法も簡単で、以下のようなステップで進めていきます。
参考:【Googleサーチコンソール】使い方/登録方法/アナリティクス連携を解説
①サーチコンソールにアクセスする
②「検索での見え方」から「構造化データ」を選択する
構造化マークアップは実際に検索結果を見ないと正しく反映できているかどうかわかりません。そのため、エラーが発生したときだけでなく、更新をするたびに検証するようにするといいでしょう。
リッチリザルトテストで確認する
そして3つ目の確認方法は、リッチリザルトテストで確認する方法です。リッチリザルトテストはGoogleが提供しているツールで、無料で使用することができます。
使用方法はとても簡単です。上記の画像のような画面が出てくるので、以下のステップで進めていきます。
①構造化データテストツールにアクセスする
②該当のURLを入力する
③「テストを実行」をクリックする
検証した結果、構造化マークアップが正しく実施されていることが分かれば、上記のような表示がされます。ただし、構造化マークアップができていても、細かい点についても警告を表示してくれるので、チェックしておきましょう。
もしソースが読み込めないなどのエラーが発生した場合は、このような画面になります。エラー画面になった場合は、エラーメッセージを元に修正を行いましょう。
構造化マークアップのSEO効果
ここまで構造化マークアップの検証方法について解説していきました。ここまで詳しく構造化マークアップについて知ると、SEOの効果があるのかどうか気になるという方もいるのではないでしょうか。
実際のところ、構造化マークアップは直接的なSEO効果はないと言われております。というのも、Googleのジョン・ミューラー氏は構造化マークアップについて、下記のように述べています。
原文:
you’re marking it up like this that’s really nice of you but we’re not using that to change rankings
翻訳:
あなたたちがこのように(構造化データ)をマークアップしているのは本当に素晴らしいことですが、だからと言って私たちは検索順位を変更することはありません
このように、構造化マークアップによって直接的に検索順位が変更されるというわけではありません。しかし、構造化マークアップをすることで、検索エンジンが認識されやすくなることはあります。
また、リッチリザルトの表示によってユーザー体験が向上することで、サイトへの流入が増えることはあります。そのため、構造化マークアップによる間接的なSEO効果は期待できるのです。
構造化マークアップによってすぐにSEO効果は出ないかもしれませんが、長期的にみると検索順位向上はあり得ます。長期的に運用を考えている場合は、ぜひ構造化マークアップは取り入れるべきです。
構造化マークアップのまとめ
今回は、構造化マークアップの概要やメリット・デメリット、そして実装方法について解説していきました。構造化マークアップは、Webサイトで設定することで、検索エンジンにとってクローラビリティの向上、ユーザーにとってはユーザービリティの向上が期待できる、有効な方法です。
構造化マークアップは検索エンジンに情報を適切に整理し、伝えることからGoogleのミッションである「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスして使えるようにすること」の効果的な手段になります。まだ構造化マークアップを自社のサイトに取り入れていない方は早めに導入しましょう。
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