今、推進すべきクリエイティブフォーマットは? 配信ロジックから考えるTwitter広告の基本

[転載元]顧客満足度で広告という仕事を考える┃CANVAS

こんにちは。D2C Rでクリエイティブプランナーを担当している菊池(@crplanner_desu)です。
普段はデジタルの獲得系クリエイティブの戦略策定、制作進行、検証などを行っています。

本連載では「メディア」「ターゲット」「コンテンツ」3つの軸をベースに、それぞれの軸を深堀しつつ、
それに合わせたクリエイティブノウハウをお伝えしていきます。

初回は「Twitter × クリエイティブ」と題しまして、Twitterという媒体の特性やロジックに焦点を当てながら、
アプリ案件においての最適なクリエイティブ攻略を行っていく上でのノウハウをお伝えしていこうと思います。

Twitterの媒体概要

今や4,500万人(2021年9月時点)が使用しているTwitter。
ひとり言を呟くだけのツールではなく、最新情報をチェックしたら、
同様の趣味嗜好の方とつながるコミュニケーションツールとしてなど、様々な用途で幅広いユーザーに利用されているSNSです。
更に、ユーザー同士が自分の好きな物をどんどん共有する文化も根付いており、爆発的な拡散性も期待できる優秀なメディアでもあります。

TwitterはFacebookやLINE等の媒体と違う点がいくつかあります。
例えば、Twitterではユーザー同士の「会話量」を非常に大切にしており、
媒体自体がマーケティングのKPIとして「会話量」を設定する事を強く推奨しています。
また、ブランド絵文字※1やトレンドテイクオーバー※2など「会話量」を生むための広告メニューも豊富に取り揃えており、
媒体全体でユーザー間での会話の盛り上がりをサポートする体制が整っています。その為もあってか、Twitterではユーザーが広告にコメントすることが普通であり、匿名性も相まってユーザー自身の「生の声」が聴きやすいという利点もあります。
※1:特定のハッシュタグ語尾にオリジナルの絵文字を追加するメニュー
※2:トレンド表示に特定のハッシュタグをトレンドの様に表示するメニュー

この様な独自の文化がある中でも、それを無視してGoogleやYahooなどのディスプレイ広告と同じ感覚で配信してしまっている案件がいまだに多いのも事実です。Twitterの利用ユーザーは広告慣れしているという事もあり、ディスプレイ広告と同じ感覚で配信してしまうと見向きもされない可能性が高くなります。
そのため、Twitterという媒体の特徴に合わせたクリエイティブ攻略を進める事が重要になってきます。

今回はTwitterの「配信ロジック」をベースに、今推進していくべきクリエイティブフォーマットと、
クリエイティブの参考例などをいくつか紹介していこうと思います。

広告効果を左右する「広告スコア」

Twitterで広告配信をおこなう際に、それぞれのクリエイティブに「広告スコア」という基準が設けられていることはご存知でしょうか?広告スコアは以下の要素で決定されます。

広告スコア = 入札金額 × 品質スコア

・入札金額:クリエイティブ毎に設定できる入札金額のこと
・品質スコア:媒体側が独自に判断している、クリエイティブ毎の品質を示すスコアのこと

媒体にて、広告表示を決定付けるオークションが行われる際に、この広告スコアが良ければ良いほど、低い入札金額にて表示させる事が可能です。故に、広告スコアが下げればCPC(1クリックあたりの単価)を下げる事に繋がり、相対的に見たときにCPIの低下に繋がります。

この際に入札金額は読んで字の如く、「設定した入札金額」の事を指しますが、品質スコアの方は以下の計算式を元に算出されます。

●共感性:
想定エンゲージメント率(アプリのクリック率/エンゲージメント率)によって算出。
「クリック」「いいね」「リツイート(以後“RT”)」等の数値が向上するほどスコア改善につながる。

●関連性:
ツイートの内容が配信先のユーザーとマッチしているかによって算出。
媒体がラベリングしたユーザー特性と広告の一致度や様々な要因によって決定されるが、
その実態はブラックボックスになっている。

●新鮮度:
ツイートが新しいかどうかで算出。最新のツイートであればあるほど、スコアが向上する形となる。

品質スコアは「共感性」「関連度」「新鮮度」の3つの項目を基準としており、クリックだけに限らず、「いいね」「RT」などのエンゲージメントもTwitterの広告効果に大きな影響を及ぼします。前述した通り、これらのエンゲージメント率が上がっていく事でCPCを下げる事ができます。

更に「RT」をされる事により、RTしたユーザーのタイムライン上でも該当ツイートが表示される様になるため、追加費用をかけずにリーチを広げる事ができます。更にTwitterはクリック課金となりますが、RT先でクリックされた場合は課金がつかず、無料でクリックを獲得する事が可能です。その為、単純な獲得効果のみでなくエンゲージメントも積極的に狙っていく事がTwitter広告では理想的です。

ここまでで、Twitter広告の特徴はある程度ご理解いただけたかと思いますが、いざTwitter配信を開始しようとなった場合、どのクリエイティブフォーマットに注力すべきか悩むところかと思います。そんな方の為に、ここからは今Twitterで注力すべきクリエイティブフォーマットについて解説していきます。

今注力すべきクリエイティブ形式

前述させて頂いた品質スコア等の配信ロジックを踏まえた上で、直近特にオススメしたいクリエイティブ形式、それが「カルーセル」です。カルーセルフォーマットの中でも、「静止画」「動画」がありますが、今回は演出や見せ方の自由度が高く、かつ情報量が多い「動画カルーセルにフォーカスして解説させていただきます。

通常の動画クリエイティブの場合は静止画クリエイティブ同様、エンゲージメントとしてカウントされる指標は「いいね」「RT」のみとなります。しかし、動画カルーセルの場合は「いいね」「RT」に加えて「手動スワイプ」がエンゲージメントとしてカウントされます。更にこの手動スワイプは1つのクリエイティブに対して何回手動でスワイプしても1エンゲージメントとしてカウントされるのではなく、手動スワイプの回数すべてがエンゲージメントとして1つのクリエイティブに蓄積されていきます。

この事から、動画カルーセル形式でユーザーが手動で何度もスワイプする事を促せる演出のクリエイティブがあれば、エンゲージメントをより多く蓄積させる事ができ、品質スコアが向上し、CPCの低下に繋がり、ひいては安いCPIで獲得する事が可能になります。

「能動的にスワイプさせるクリエイティブを作成すべきだ!」

そんな動画カルーセルクリエイティブが理想的だというところまではご理解いただけたかと思いますが、広告という媒介でユーザーに能動的に何度もスワイプさせる事ができるクリエイティブを作り出すのはなかなか難しいかと思います。

基本的に広告というのはユーザーから敬遠されがちな物。そんな広告であってもユーザーにポジティブな感情を醸成しながら能動的にスワイプを促す事ができる演出が「ユーザーが遊べる」タイプのクリエイティブです。

「ユーザーが遊べる」タイプのクリエイティブはユーザーに一方的に伝えたい情報を伝えるのではなく、広告の中でユーザーが遊べるコンテンツを含める事で、ユーザーに楽しんで貰いながら情報を伝えていきます。単純に情報伝達~獲得に繋がるだけでなく、ユーザーにポジティブな感情をもってもらうことで、離脱のしづらい「コンテンツのファン」を作りだす事も可能です。
以下、「ユーザーが遊べる」クリエイティブの一例を紹介します。

◇「ユーザーが遊べる」動画カルーセルの一例

クイズ風クリエイティブ

クイズという形態にすることユーザーに楽しんで貰いながら動画を視聴させる。問題の難易度を上げる事で、問題と解答を何度も見返す為、能動的に複数回のスワイプをさせる事が可能に。また難易度を上げる事でリプライ欄などでのユーザー同士の盛り上がりも期待できる。

間違い探し風クリエイティブ

間違いさがしという「何度もクリエイティブ同士を見比べる必要性」がある遊びにする事でユーザー自身での複数回スワイプを誘発させる。敢えて答えはこちら側から提示しない事で、クイズ風クリエイティブ同様、「あと一つが見つからなかった…」「最後の間違えはここ!」等リプライ欄でのユーザー同士の盛り上がりを発生させる。

この様に「クイズ」「間違い探し」などカルーセルならではの遊びの形態をクリエイティブに落とし込む事で、手動スワイプを促すクリエイティブの作成が可能になります。

まとめ

今回はTwitterの配信ロジックに合わせたクリエイティブ事例を紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか?

Twitterは滞留ユーザーの属性も相まって、「好き」「良い」「推せる」等のポジティブな感情形成をさせる事で一瞬にして拡散していく非常に高いポテンシャルがあります。そのポテンシャルを最大限に活かしていくためにも、配信ロジックやクリエイティブフォーマットを含めたメディア全体の特性を理解して、最適なフォーマットを選定した上でクリエイティブ開発を行っていく事が強いクリエイティブ制作のカギとなります。

れからTwitterでの広告配信を検討している方や、現在Twitterクリエイティブのマンネリを感じている方に、少しでもこの記事がお役に立てましたら幸いです。

それでは次回第2回、お楽しみに。


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