富裕層市場を取り巻く環境は変化していており、富裕層をターゲットとしたラグジュアリー業界と旅行業界の親和性が高まっています。なぜならば、社会的地位の象徴は「モノ消費」から「コト消費」へと移り変わり、ラグジュアリー業界と旅行業界は共に、商品ではなく「体験」を軸としたサービス提供を目指しているからです。ラグジュアリー業界では、旅行業界へビジネスを広げることによって、「体験」によるブランド認知度を高め、優良顧客を惹きつける試みが始まっています。例えば、「ブルガリ(BVLGARI)」は2020年末に東京駅前にブルガリホテルを開業予定、「フォション(FAUCHON)」のホテル部門フォション ホスピタリティは世界で2軒目となるホテル「フォション ホテル 京都」を2020年に開業予定です。世界の富裕層旅行市場は2026年までに約180兆円規模に達することが予想されています。現代の富裕層トラベラーの消費行動を理解するために、旅行購買データ活用の重要性の認識は不可欠となっているのです。
日本では、2017年度の日本の旅行会社によるオンライン総取扱高は2兆9977億円となり、2015年度調査の2兆3611億円に比べ、27.0%と大幅に増加しました。また、オンライン販売比率は旅行会社の総取扱高の36.3%となりました。この傾向は全世界で見られ、オンラインでの旅行予約による収益が2019年から2023年の間で年率6.2%成長し、2023年までに市場規模は約58兆円に達すると予測されています。この莫大なオンライン旅行購買データの活用により、旅行マーケッターはより精度の高いターゲットへのリーチが可能になりました。
2018年には高級ブランドを持つコングロマリットLVMH(モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン)による高級ホテル等を運営するBelmond(ベルモンド)の買収、またイギリスの老舗高級車メーカーのアストンマーティン・ラゴンダとヒルトンの最上級ブランドであるウォルドーフ・アストリア・ホテルズ&リゾーツが宿泊者に豊富なアストンマーティンの最新車で決められたルートを試乗体験できるサービス提供の提携を発表しました。
日本では政府が2020年にインバウンド客数4000万人、インバウンド旅行消費額8兆円という目標を掲げています。またJNTOが富裕層トラベラーを「1回の旅行で1人100万円以上の消費をする層(飛行機代を除く)」と定義し、富裕層トラベラー増加施策を実行中です。(例:ラグビーW杯、東京オリンピック、IR誘致、Expo 2025 (2025年日本国際博覧会))企業側でも同様の取組を行っております。 例えばANAが英国のラグジュアリースーツケースブランドと提携したオリジナルスーツケースポーチに入れたアメニティキットをファーストクラスで提供しています。またトップブランドのホテルの開業が相次いでおり、2019年にオークラトーキョーがリニューアル開業、ハイヤットは来年に向けて10-20軒、先述のウォルドルフ・アストリアを東京に、リッツ・カールトンは日光に開業予定です。
訪日旅行客数は2013年から2018年で1000万人から3000万人へと約3倍と急増した一方で政府は訪日旅行客の消費額を増やすべく「量から質へ」を指針に掲げています。また米国向けの富裕層向け旅行雑誌の「Condé Nast Traveler」が発表した読者投票ランキング「世界で最も魅力的な大都市(TOP 10 LARGE CITIES in the WORLD)」で、東京が4年連続で1位を獲得。2位は2年連続で京都、5位には大阪がランクインし、2020年には東京オリンピックも開催されることから、世界の富裕層から日本への注目が集まっていることは間違いありません。ブランドによる特別な「体験」を求めている富裕層トラベラーをターゲットとする場合、「私は特別なサービスをしてもらっている」という実感や高い顧客満足度が必要となるため、パーソナライズしたサービスの提供は必須となります。全ての顧客がそれぞれ異なり大切に扱われていると感じされることが、ブランドロイヤリティ向上に役立ちます。
幸運なことに、テクノロジーによりパーソナライゼーションは容易になりつつあります。ラグジュアリーブランド企業は、富裕層トラベラーのオンライン旅行購買データに基づき、高い精度でターゲティングすることができるのです。ADARAでは旅行データを基に、富裕層トラベラーを特徴毎に4つのタイプに分けてそれぞれの違いを判別しています。
ラグジュアリー業界と旅行会社の協業の有効性が両者により認識されていますので、マーケティング活動においては、この親和性を最大限に活用することが大切です。オンライン旅行購買データから得ることのできるインサイトを使って、ラグジュアリーブランド企業は、精度高くパーソナライズされたキャンペーンやそれぞれの顧客に合った特別なサービス訴求を広告展開することができるのです。富裕層トラベラーの4つのタイプの差異は非常にニッチに感じられるかもしれませんが、一人一人が心地よく感じられる体験訴求は異なります。それこそが旅行におけるブランド体験のサービス展開のヒントになるはずです。
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