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音楽デジタルマーケティングとは?今、マーケターが求められる理由

音楽デジタルマーケティングとは?今、マーケターが求められる理由

デジタルマーケティングの重要性については、今更語るまでもなく、MARKETIMESをご覧の方は自明のことかと思います。

ただ、音楽ビジネスのフィールドでデジタル分野のマーケターが求められているということは、意外に知られていない気がします。

音楽ビジネスの生態系に構造的な変化が起きていること、それに伴って、デジタルマーケティングを得意とするマーケターに大きなビジネスチャンスが訪れていることを本稿では、お伝えしたいと思います。

世界の音楽市場をV字回復させたストリーミングサービス

まず2つのグラフをご覧ください。

世界の音楽市場をV字回復させたストリーミングサービス

世界の音楽市場をV字回復させたストリーミングサービス

2001年〜2020年の世界の音楽市場の推移です。

2014年を底に、見事なV字カーヴを描いて復活しているのがおわかりいただけるかと思います。この復活を牽引したのがSpotify、Apple Musicといった音楽ストリーミングサービスの伸長です。2020年はコロナ禍でしたが、成長しています。まだ伸びしろがあるという見方が一般的です。

もう一つの円グラフは、売上における比率です。

ストリーミングが6割になっていることがわかります。

音楽ビジネス生態系の幹が月額課金(サブスクリプション)型のストリーミングサービスになりました。ストリーミングサービスはユーザー行動が可視化されています。また、再生回数に応じて、音楽家側に音源使用料が支払われるという仕組みです。デジタルサービスのコミュニケーションで、ユーザーに音楽を聴いてもらうことが、「宣伝」活動の中心になっているというのは、理解いただけるかと思います。

さて、日本です。日本はCD、DVDというパッケージが売上の7割を占める世界でも稀有な国になっています。AKB48が握手券を付けて、同じユーザーに複数枚販売して、オリコンシングルチャートをハックしたことは有名ですね。世界二位の音楽市場は、世界で一番、デジタル転換が遅れている市場でもあります。

従来型の音楽ビジネスの中心だった日本のレコード業界は、デジタルサービスの普及をできるだけ遅らせるという戦略を取ってきました。CDビジネスは製造、流通、宣伝を仕切るビジネスプラットフォームの役割をレコード業界が担っていましたから、自分たちのプレゼンスが落ちることを嫌って、音源の許諾を可能な限り、後ろ倒しにしてきたのです。

日本の音楽市場DXの背中を押すコロナ禍

そんな日本にも確実に転機が来ています。もはや若い世代はCDプレイヤーを持っていません。コロナ禍でレンタルCD店も歴史的な役割を終えました。握手会ができなければ、CDの複数売りもできません。根強い音楽ファンの支援で、CD売上は微減にとどまり続けていますが、あくまで「ファンが買うアイテム」となっていて、音楽が広まるのはYouTubeであり、TikTokです。

2020年最も話題になったのは、無名の男性シンガーソングライター瑛人の「香水」が、既存のレコード会社の力を借りず、大ヒットをしたことでした。5月にBillboard JAPAN 総合チャートで1位、大晦日にはNHK紅白歌合戦に出演して話題になりました。TikTok起点のユーザー発のオーガニックなヒットの形です。

新しいアーティストはデジタルサービスを幹にした音楽活動に重心を移しています。DIYで音楽活動をしていても配信サービスに自分の楽曲を流通させることができるTuneCoreというサービス経由の楽曲が確実にシェアを伸ばし、大手レコード会社を上回るようになりました。TuneCoreが素晴らしいのではなく、既存のレコード会社が「何もしない」ことによって起きている現象です。

<参考>

音楽ビジネスで加速している「個へのパワーシフト」

インターネットは情報を民主化し、あらゆる産業に再定義を迫っています。音楽はデジタルファイルとして流通させやすく、インターネットとの相性は良いビジネスです。UGMサービスやSNSを通じてユーザーが音楽を拡散させて、ヒットが生まれる時代になりました。

レコード会社も音楽事務所も音楽雑誌もテレビ局やラジオ局も存在意義が著しく下がっています。正確に言うと、音楽家にとって必ずしも「必要ではない」存在になりました。

そこでどうしても必要な存在があります。音楽分野で活躍できる、プロのマーケターです。

DTMの普及で、クオリティの高い音源を音楽家は自宅録音でも作れるようになりました。自分でストリーミングサービスに配信することもできます。しかし、音楽家自身がマーケティングするのは容易ではありません。

既存の音楽業界にもデジタルマーケティングのスキルを持った人材がほとんど居ないのが現状です。マスメディアでの露出、タイアップ、ラジオでのオンエアー、CD店での大規模展開、といった従来の手法が有効性を失っている今、デジタルメディアでのユーザーとのコミュニケーションが音楽ビジネスを行う上で最重要になっています。

すでにマーケターとして活躍されている方に、音楽ビジネスという領域は非常に有望です。今なら完全にブルー・オーシャンです。専門分野の一つに音楽を取り入れてみませんか?

 従来の音楽業界は「勘と運と根性と人間関係」で宣伝広報がされていた業界でした。デジタルサービスが音楽ビジネスの主流になることで、他の業種と同様に「データドリブンマーケティング」が肝要になります。音楽業界外からの人材が求められる大きな理由です。

 音楽業界「改革派」の皆さんの協力で、音楽デジタルマーケティング講座を始めます。実際に楽曲リリースにリアルに関わって、戦略構築からPDCAを回していく、音楽ビジネスの専門家からのアドバイスやIT関係者のインサイトを活用して、その結果を共有できるという他には無い内容です。「神は細部に宿る」と言います。具体の施策の積み重ねとノウハウ共有が日本の音楽デジタルマーケティングの発展につながると大きな期待を持っています。

音楽業界に転就職したい若者や、領域を広げたいマーケターの方に、アーティストの楽曲をリリースし、ダッシュボードの中を見て、マーケティングに取組むという、音楽ビジネス側にいないとできない内容を用意しました。是非、活用してみて下さい。

説明会を実施しますので、まずはこちらにどうぞ。

【2021/6/7(月) オンライン開催】音楽デジタルマーケティングって何?~音楽マーケティングブートキャンプ受講相談会~

MARKETIMESでは、音楽分野のデジタルマーケティングに関する研究成果や、セミナーの進捗状況などを連載として発表していこうと思います。どうぞお楽しみに。

山口哲一(音楽プロデューサー/エンターテック・エバンジェリスト)

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