リスティング広告の運用を依頼する場合、誰でもリスティング広告の運用代行が得意な良い広告代理店に依頼したいと考えるのが普通ですよね?
リスティング広告は運用型の広告で、運用代行をするコンサルタントの力量によって広告効果に大きな差が出るため、広告運用を依頼する広告代理店選びが非常に重要となります。
この記事では、リスティング広告の運用を得意とする大手インターネット広告代理店のSEMコンサルタントを経て、複数のアドネットワーク立ち上げ時に100社以上のネット広告代理店の担当者と会話&事業会社側でネット広告代理店に依頼をしてきた筆者が、インターネット広告業界の目線で良い代理店と悪い代理店の見極め方をご紹介いたします。
運用者・アドネットワーク・事業会社と三方の視点から広告代理店を見てきたので、様々な視点から最適なリスティング広告代理店の選び方を解説いたします。
目次(クリックしてジャンプ)
リスティング広告の代理店選びについて
リスティング広告の代理店選びというのは、専門的な知識が無い方にとっては非常に難しい判断になります。
多くの広告代理店は同じような強みを訴求しているため、リスティング広告の専門的な知識が無い場合は、良い広告代理店と悪い広告代理店の見極めが出来ないからです。
リスティング広告の代理店は大手から中小まで数多くの広告代理店がありますが、その中でも本当に実力のあるネット広告代理店は非常に少ないです。
また、広告代理店によって得意な領域・媒体・手法などがあるので、有名なネット広告代理店だからといってリスティング広告の運用が得意とは限りません。
さらには、リスティング広告が得意な広告代理店であっても、担当するコンサルタントによって結果は大きく変わりますので、さらに難しい困難な決断となります。
では、どのようにしてリスティング広告代理店を選べば良いのでしょうか?
予算規模に合った広告代理店を選定する
リスティング広告代理店は大手から中小まで数多く存在していますが、リスティング広告の広告予算によって運用を依頼するネット広告代理店をある程度絞ることが可能です。
予算規模によって広告代理店を絞る明確な理由があるので、まずはリスティング広告の広告予算から広告代理店を絞り込んでいきましょう。
リスティング広告の運用予算が1,000万円/月以上
大手ネット広告代理店から中小の広告代理店まで、幅広く選択が可能です。
ただし大手広告代理店でも、マス媒体(テレビ/新聞/ラジオ/雑誌)を得意としている広告代理店はリスティング広告の運用力が乏しい場合が多いので、リスティング広告の運用はネット広告代理店に依頼しましょう。
・大手インターネット広告代理店の場合
1,000万円以上のリスティング広告案件の場合、専門のコンサルタントが付いて運用する事が多いです。大手ネット広告代理店は社内の教育体制がしっかりと整備されており、情報共有が多いため運用スキルの高いコンサルタントが多い傾向です。
例えば、同じ部署やチーム内に同業界の広告運用をしているコンサルタントがいるケースが多く、業界動向や成功した施策などチーム間や部署内で共有されている場合は、どの施策が効果的か?など知見や引き出しが豊富になります。
大手ネット広告代理店であれば業界1位〜3位のクライアントを同じ広告代理店が運用しているというようなケースもあり、非常に多くの広告予算を使って運用しているので社内には自然と多くの知見や勝ちパターンが溜まっていきます。
もちろん、競合なので本当に重要な施策は黙っている事もあります。
・中小インターネット広告代理店の場合
中小の広告代理店でも、大手広告代理店に負けないケースがあります。まず大切なのは、運用するコンサルタントが専門的な知識や経験を持っているか?という事が重要です。
リスティング広告の代理店の中には、入社したばかりの未経験のコンサルタントを業界歴数年というような形で担当させる事があるので、コンサルタントの質を正しく見極める必要があります。
ただし、良いコンサルタントが担当に付けば、大手よりも良いケースもあります。それは、大手よりも工数を掛けて運用してくれるからです。
例えば、大手ネット広告代理店は数億/月というクライアントも抱えているため、1,000万円/月という予算は決して大きくありませんが、中小の広告代理店にとっては大きい予算のクライアントとなることが多いため、重要クライアントとしてコンサルタントが運用に非常に多くの時間を費やしてくれる事があります。
担当コンサルタントが優秀であれば、優秀なコンサルタントが非常に多くの時間を費やして運用をするため、大手ネット広告よりも良い運用が出来る場合があります。
・ネットでは無い広告代理店やコンサルティング会社
稀に良いコンサルタントがいる場合もありますが、基本的にはネット広告代理店に依頼することをオススメします。リスティング広告は専門の運用知識が必要な広告のため、かなり大手であったとしてもリスティング広告の専門チームが無い場合があります。
リスティング広告の運用予算が1,000万円/月未満
・大手ネット広告代理店の場合
広告予算が1,000万円/月未満の場合、元々別案件で付き合いがあるなどの場合で無い限り、大手ネット広告代理店に依頼するのは辞めておいたほうが良いです。
理由は、大手インターネット広告代理店では、1,000万円/月未満の広告運用には経験豊富なコンサルタントは運用担当者として付かないことが多いためです。
新卒や中途で入社したばかりでも能力の高いコンサルタントはいますが、そういったコンサルタントに当たる確率は低いと思います。
また、少額の場合はコンサルタントでは無く、営業が運用するケースもあります。あとは、そもそも少額だと受けてくれないケースも多いです。
・中小ネット広告代理店の場合
1,000万円/月未満の場合は、中小のネット広告代理店から選定しましょう。
理由は前述の通り、大手ネット広告代理店の場合は1,000円/月未満はしっかり運用してもらえない可能性が高いので、中小のネット広告代理店から選ぶことが正しい選択です。
ウェブサイトを見て代理店を絞り込む
予算で絞り込んだら、次はウェブサイトの内容から代理店を絞り込んでいきましょう。
中小ネット広告代理店の多くは、リスティング広告のページを持っていますので、そのページを見ることである程度の判断が出来ます。
そして、複数の代理店から選ぶ時に重要なことですが、代理店のリスティング広告のページを隅から隅まで読む必要はありません。
本当に重要な内容は、1stビューというスクロールしなくても良い領域かその直下に書いてあります。
その他に書いてある内容というのは、どの代理店も似たような事が書かれていたり、捻り出したようなものが多いので本当に重要なことだけを選定基準としていきましょう。
では、どのような内容に注意すれば良いかというと、具体的な説得力を持った内容になっているかという点です。
例えばどのようなコンサルタントが運用するのか、どのような強みがあるかなどが記載されていると思いますので、その内容を見た上で説得力があるかを判断します。
特に、どのようなコンサルタントが運用するのかは重要な情報になります。リスティング広告業界でもGoogleをはじめとしてAIの技術が発達しており、ある程度の作業であれば自動化をしています。
ただし、AIを動かすための設定はコンサルタントがするので、まだまだ運用する「コンサルタント」が重要な業界です。
コンサルタントの強みに関する具体的な例
・専門のコンサルタント
専門のコンサルタントが運用担当者としてリスティング広告を運用するかどうかは非常に重要な情報です。
実は、リスティング広告は営業が片手間で運用しているケースがありますので、必ず専任のコンサルタントが運用してくれる代理店に依頼しましょう。
・経験業種/アカウント規模
こちらも非常に重要な要素です。どのような経験をしたかによって運用者の実力は大きく異なると思います。
特に大規模アカウントの運用経験のあるコンサルタントは、多数の施策を繰り返しPDCAを回して検証しているので、持っている引き出しが多い傾向があります。
・有資格者
資格で運用の上手い下手は判断できません。
資格はあくまでもテストなので、実際に運用するスキルとは異なります。
私自身も広告代理店制度の関係でリスティング広告の資格を取得していますが、ハッキリ言ってテストの内容は運用には殆ど関係無く、テストの対策をして試験に望めば資格は取得出来ます。
リスティング広告のテストでは使用機会が殆ど無いような機能の問題や、設問の日本語がおかしく文章が理解しづらい問題などがあります。
逆に言うと、優れた運用者でもテスト勉強をしなければ資格が取れないケースも多いような気がします。
・経験年数
リスティング広告運用の経験年数は関係ありません。もちろん短すぎるのはNGですが、経験年数には意味は無くどのような経験をしたか?という点に意味があります。私は大手ネット広告代理店に在籍していましたが、経験年数1年でも優秀なコンサルタントは沢山いました。
一方で経験年数が長くても運用が上手くないコンサルタントもいますので、経験年数は選定基準にはならないと考えています。
その他の強み
・大規模アカウントのクライアント実績
多数の大規模アカウントを運用していれば、その知見が社内に蓄積されていると思います。このような広告代理店は実力のある広告代理店だと思います。
・媒体認定パートナー(正規認定代理店)
媒体の認定パートナー(正規認定代理店)は一定の判断基準にはなるかと思いますが、本当にきちんと運用してくれるかどうかの観点ではあまり意味が無いと思います。
権威性という観点で媒体の認定パートナー(正規認定代理店)だから安心という心理が働くかもしれませんが、その広告代理店のエースが担当になってくれる保証はあるでしょうか?
弊社もGoogleの認定パートナー(正規認定代理店)ではありますが、これがあるから運用の実力が高いと判断出来ません。
あくまでも最低限のリスクヘッジという程度だと考えたほうが良いです。
ウェブサイトでの判断まとめ
ウェブサイトで判断出来る点は下記あたりかと思います。
上手い訴求をしていたり特徴的な事が書いてあるページもありますが、基本的にはウェブサイトだけで判断出来る情報というのはあまり多く無いと思います。
・専任コンサルタント
・経験業種/アカウント規模
・大規模アカウントのクライアント実績
ネット広告代理店の得意媒体を確認する
ウェブ広告には、Google/Yahoo以外にもFacebook、Instagram、Twitter、LINE、アフィリエイト、記事広告、純広告など、様々な広告手法があります。ネット広告代理店でもそれぞれ特徴が異なり、得意とする媒体があります。
特にリスティング広告は独自のノウハウやテクニックが多く存在し、運用するコンサルタントによって効果が大きく異なる運用型の広告です。
他の広告媒体ならまだしも、リスティング広告に関してはリスティング広告が得意なネット広告代理店以外にはリスティング広告の運用は依頼しないほうが良いです。下記は、ネット広告代理店の売上ランキングですが、この中にもリスティング広告の運用が得意ではない代理店があるので、大手だから安心ということはありません。
ネット広告業界 売上高&シェアランキング(2019年-2020年)
順位 企業名 売上高(単位:億円) 1 サイバーエージェント 2,514 2 デジタルHD(オプト) 827 3 アドウェイズ 417 4 GMOアドパートナーズ 345 5 ファンコミュニケーションズ 293 6 バリューコマース 291 7 インタースペース 236 8 フルスピード 191 9 アイモバイル 149 10 ジーニー 140 引用:業界動向サーチ
リスティング広告の月次レポートを確認する
リスティング広告の運用で、月次レポートというのは実はかなり重要なので、レポートのサンプルや過去に作成したレポートを見せてもらいましょう。
よくあるダメな例だと、ただの数値報告資料になっているレポートです。これは、媒体からエクスポートしたデータを貼り付けるなどして、規定のフォーマットに沿って出力しているだけです。
このようなレポートは、ExcelやPowerPointが少し使えれば作れるものなので、良い代理店の判断基準にはなりませんし、リスティング広告の運用で良い結果を出すことよりも、工数を削減して利益率を高めようとしている営業主体の広告代理店に多いです。
一方で、レポートに独自の考察や分析、施策案や施策結果などが含まれているレポートは良いレポートなので、良い代理店だと判断出来る基準となります。
優秀なコンサルタントは、月次資料を作りながら改めて自身の運用を振り返ったり、気付きから施策を実施します。
そうした細かいPDCAの積み重ねが優秀なコンサルタントになるためには重要な要素なので、優秀なコンサルタントであればレポートの分析や考察が的確です。
実際に運用している広告を見せてもらう
実際に運用している広告を見せてもらうことで、ある程度実力が測れます。
可能であれば、実際に検索して検索結果上に表示される広告文を確認してください。
リスティング広告の広告文にキーワードが含まれているか
実際に検索したキーワードが広告文に含まれているか確認してみてください。広告文に検索キーワードを含める手法はリスティング広告の基本ですが、同時に非常に重要なテクニックになります。
広告審査が厳しい業界(医療や薬機法関連)で自由に広告文を入れられないなどの制約が無い限り、検索キーワードを含める広告文を作成することは基本なので、広告代理店の運用力を測る上で重要な判断基準となります。
これにより、広告文の作り方や考え方はもちろん、広告文を出し分けられる適切なアカウント構成を構築できているかどうかが判断できるため、リスティング広告の運用スキルがある程度わかってきます。
広告アカウントは共有可能か
広告のアカウントの閲覧権限を貰えるか確認しましょう。
通常は広告アカウントの閲覧権限を貰えると思いますが、中には閲覧を拒否する広告代理店があります。
きちんと運用していればクライアントが広告アカウントを見ても問題が無いはずなので、閲覧権限が貰えない場合は理由を尋ねてみると良いでしょう。
料金体系は運用状況がわかる形か
通常、広告代理店のリスティング広告運用の料金体系は、下記のようになっています。
広告費+運用手数料(広告費のn% or 固定費)=請求金額(税抜)
このような料金体系で広告アカウントを共有してもらえるのであれば、広告費がきちんと使われていることが確認できるため、正常に運用されていると思います。
一方でたまに聞くのですが、注意すべき料金体系として、広告運用手数料込みの金額で運用する料金体系の広告代理店です。
広告運用手数料(マージン)込みで運用を依頼し、クライアントは実際に掛かった広告費がわからない状態で運用しているケースがあります。
料金体系が広告手数料(マージン)込みの場合、実際の広告費用をいくら使っているかは外からではわかりません。
この場合、広告運用が上手い下手という以前に、きちんと広告が表示されずにお金だけ払っている状態になる可能性があります。
考えて見ればわかるかと思いますが、広告手数料(マージン)込みの場合は広告をなるべく表示させないで広告費用を抑えることで粗利が多くなります。
悪質なケースですが、例えば売上が足らない月で粗利を増やす目的で、月の広告予算は変えずに広告の露出量を減少させるなどが考えられます。
この料金体系ではアカウント閲覧権限が貰えれば問題ありませんが、アカウント閲覧権限を貰えないのであれば、候補から外すべきです。
担当コンサルタントの運用歴を聞く
広告代理店に対して、リスティング広告の運用を担当するコンサルタントの運用歴を聞いてみましょう。
この時、経験年数では無くどのような業界のアカウントでどの位の予算を運用していたかなどを確認すると良いでしょう。
数千万円~数億円/月の中-大規模アカウントの運用経験があるコンサルタントであれば、よほどの事が無い限りきちんと運用してくれると思います。
数百万円規模の広告アカウントのみを運用してきた場合は、優秀なコンサルタントとそうでないコンサルタントが混在していますので、具体的な改善例や改善施策などを詳しく確認したほうが良いです。
リスティング広告の代理店の選び方まとめ
予算規模で絞り込む
・月間広告費1,000万円以上の場合
ネット広告代理店全般に依頼する(大手~中小代理店)
・月間広告費1,000万円未満の場合
中小のネット広告代理店全般に依頼する
ウェブサイトから代理店を絞り込む
・ウェブサイトの上部の訴求文を見る
1stビューか、その直下の訴求内容を確認
・専任コンサルタント
コンサルタントが運用してくれる代理店にする
・コンサルタントの経験業種/運用アカウント規模
どのような経験をしている運用者か確認する
・代理店の大規模アカウントのクライアント実績
大規模アカウント運用は、実力のある広告代理店の証
広告代理店の得意媒体を確認
・リスティング広告が得意なネット広告代理店を選ぶ
リスティング広告の月次レポートを確認
・考察や分析のあるレポート
考察/施策案/施策結果記載のレポートはPDCAを回している証
運用している広告を見る
・広告文にキーワードが含まれているか
キーワードを含める広告文は運用力を測る判断基準となる
広告アカウントを共有可能
・広告アカウントの閲覧権限を貰える代理店に依頼
きちんと運用しているなら管理画面を見ても問題が無いはず
料金体系が明確で運用状況がわかる形
・運用手数料込みでアカウント閲覧権限を貰えなければ候補から外す
運用がブラックボックスなので、広告費を抑えている可能性がある
担当コンサルタントの運用歴
・大規模アカウントの運用経験があるコンサルタント
よほどの事が無い限りきちんと運用してくれる
・小規模アカウントのみを運用してきた場合
具体的な改善例や改善施策などを詳しく確認
以上がリスティング広告の広告代理店選びのポイントになります。こういった観点から広告代理店を探して頂ければ、大きく失敗することは無いと思います。
インタビュー・取材記事掲載はこちら