顧客を巻き込むソーシャル起点の体験設計 ~Twitterでフルファネルにキャンペーン展開する際のポイント〜

顧客を巻き込むソーシャル起点の体験設計 ~Twitterでフルファネルにキャンペーン展開する際のポイント〜

コロナ禍によって消費者の価値観・行動が大きく変化したことで、各ソーシャルメディアプラットフォームも大きく進化し始めています。そうしたことから、今後のマーケティング施策を成功に導くためにも、「各ソーシャルメディアプラットフォームの特性や利用のされ方がどうアップデートされているのか」を把握しておくことが不可欠な状況だと言えます。

本稿では、SNSがトータルなCX(顧客体験)を実現するプラットフォームとして活用できるようになったことを踏まえ、特に拡散のためのプレゼントキャンペーンなど一過性の施策で用いられがちなTwitterにフォーカスし、ブランドがどのようなストーリーを顧客に届けたり、継続的なコミュニケーションからファンへと育成しようとしているか、いくつかの事例のエッセンスをもとに紐解いていきます。

著者

秋山 奈央 Nao Akiyama

電通デジタル エクスペリエンスデザイン本部 / ソーシャルエクスペリエンスデザイン部 室長

大学卒業後、大手日系航空会社にて顧客マーケティングを担当。2013年より現職。各企業のソーシャルメディアを活用したコミュニケーション支援から、デジタル活用したサービスデザイン、横断的なデジタル施策を得意とする。

崔 廷銀 Jungeun Choi

電通デジタル エクスペリエンスデザイン本部 / ソーシャルエクスペリエンスデザイン部 シニアコミュニティデザイナー

デジタル領域を中心にしたマーケティングプランを設計・実行しているプランナー。 SNSを起点にしたプランニングを得意分野とし、現在国内大手メーカーのSNSプランニングを多数担当。

ソーシャルメディアプラットフォームに起こっている変化

ウェビナー「Twitter 最新マーケティング活用セミナー~顧客を巻き込むソーシャル起点の体験設計~」の冒頭で、電通デジタル エクスペリエンスデザイン本部 / ソーシャルエクスペリエンスデザイン部 室長 秋山が語ったのは、ソーシャルメディアプラットフォームの利用スタイルとそれぞれの特徴の変化についてです。

秋山は、「以前は友人や知人とのコミュニケーションツールとみなされてきたソーシャルメディアだが、コロナ禍以降では情報収集を目的に利用する、という割合が増えてきた。例えば、外出時間短縮のために事前に情報をチェックしたり、ECを利用する前の検討の場としてソーシャルメディアが活用されている、ということだ。

一方、2020年から、Instagramはショッピング機能を充実させたり、PinterestやTikTokも動画によるコマース連携強化を発表したり、と、ソーシャルプラットフォーム自体の役割も大きな変化が起きている。使える機能も各プラットフォームで豊富になり、一見すると、プラットフォームごとの特色が薄くなっているように感じる。

しかし、例えばTwitterなら、拡散力と爆発力、企業が遊びごころのある投稿をしても許される、RTが当たり前の文化である、といった特徴は残っている。

キャンペーンの企画をする際には、ターゲットの行動特性に応じて、また、文脈によってどのプラットフォームを活用するか、綿密に設計することが重要だ。また、コマースに活用できる、といった新たに付加された機能も含めてマーケティングに生かす必要が出てきている」と述べました。

ソーシャルメディアプラットフォームに起こっている変化

Twitterを活用したフルファネルの体験設計とは?

次に、電通デジタル エクスペリエンスデザイン本部 / ソーシャルエクスペリエンスデザイン部 シニアコミュニティデザイナー 崔がTwitterを活用した事例をご紹介します。

前段で秋山も指摘している通り、Twitterが情報拡散において最も優れたプラットフォームであることに変わりがないと言えます。

しかし、以下の図にある通り、認知から興味喚起という以前からTwitterが得意としていた部分だけでなく、申込意向や購買といったパーチェスファネルからエンゲージメントファネルの領域まで、フルファネルの体験設計ができるようになっていることには注目すべきでしょう。

Twitterを活用したフルファネルの体験設計とは?

では、実際にはどのように施策が行なわれたのか? エッセンスを見ていきましょう。

認知獲得、話題作りを目的としたキャンペーン

認知獲得、話題作りを目的としたキャンペーン

まず、認知や話題作りといったTwitterがこれまで得意としていた内容に関するキャンペーンについてです。

Twitter利用者ならすぐに参加できるハードルの低さに加え、「何度も参加したくなるおもしろさ」を施策設計に取り入れることは、キャンペーン期間中の参加者増や期間中の参加者数や盛り上がりの維持が実現できると分かっています。ここでのポイントについて崔は、「単純なプレゼントキャンペーンでは、一時的にフォローしてキャンペーン終了後にフォローを解除する、というユーザーも出てくるかもしれない。そうならないように、親和性の高いファンをどうキャンペーンを通じて集まってもらうか、考える必要がある」としました。

店頭誘導、購買促進を目的としたキャンペーン

店頭誘導、購買促進を目的としたキャンペーン

店頭誘導や購買促進についての事例紹介では、ターゲットに有効な購買後の体験を設計し購買意欲を喚起する施策を紹介しました。

また購買した商品を写真で撮影、ユーザーの体験をSNS上で共有する「写真投稿型キャンペーン」を展開することで2次拡散も設計しております。ただ、写真投稿はユーザーに「参加のハードルが高い」と感じさせる側面もあり、多くのケースで「この課題をどう解決するか?」が議論されるものです。

こうしたケースの場合、崔は、「購買した商品を楽しんでもらう、という本来の目的を叶えるためのキャンペーンであることをまずは重要視すること。

そして、必要に応じてTwitterだけでなくユーザーと親和性がより高いソーシャルメディアプラットフォームを活用したり、『こういう写真で参加するのか』と分かってもらえるような参考になる写真を公式から投稿したりして参加を促す仕掛けを散りばめておくようにしたい」と、施策展開のポイントを語りました。

継続意向や推奨意向を目的としたキャンペーン

継続意向や推奨意向を目的としたキャンペーン

購買と、それ以降の継続意向や推奨意向をTwitter上で実現するキャンペーンを展開する際には、その商品を支持するファン達の属性やTwitter上での活動等をしっかりと把握してプランニングすることが成功のカギになると言えるでしょう。

崔は、「例えば、コスメを中心とした美容系の商材の場合、自分が試した商品のレビューを書き、凝った写真やイラストと一緒に紹介する『美容垢』が存在する。そして、こうしたユーザーのクチコミを参考にするユーザーも多い。

しかし、口コミの作成はユーザー側への大きい負担となるため、なかなか実際の口コミ作成に繋がりにくいハードルがある

そのハードルをユーザーエクスペリエンス設計の力で乗り越えられるようにしたり、そのテクノロジーをどう使ったらいいのか解説するようなコンテンツを用意し、多くの人たちの『クチコミしてみたい』という気持ちを後押しするようプランニングしてみると、コミュニティが盛り上がる、という状態に導けるはずだ」とし、クリエイティビティとテクノロジーをしなやかに結びつけることで広がる可能性を説明しました。

日々の運用とキャンペーンをいかにうまく結びつけるか?

日々の運用とキャンペーンをいかにうまく結びつけるか?

ここまでキャンペーンを中心にフルファネルの体験設計のポイントを紹介しましたが、アカウントを盛り上げ、そのアカウントを運営する企業の商品やサービスに親しみや愛着を持ってもらうようにするためには、日々の運用とキャンペーンをうまく結びつけるという視点も欠かせません。

例えば、アカウントを運営する企業の商品の記念日といったアニバーサリーをきっかけにTwitter上での発話数を上げたい、と考える企業は多いものですが、その発話をきっかけにフォロワーになりファンにどう転換してもらうのか、設計することも同じく重要なことだと言えるでしょう。

崔は、「例えば、商品やサービスを中心に思い出やエピソードを投稿してもらう、という企画はユーザーの想いを知ることはできるが、それだけで終わるのではなく、そこからフォロワー同士が想いに共感し合ったり、RTしたり、といった好循環が起きるようプランニングすることがひとつ目のポイントだ。

そして、そのことがきっかけでフォロワーになり、ファンになり、商品が『自分にとって大切なもののひとつ』と感じてくれるようになればと思う」と、何重もの目的を果たすための企画を作るための妙味について述べました。

今後のTwitter活用のポイントは「強みの掛け合わせ」

ここまでで紹介した通り、Twitterは拡散力に優れるという特徴に加え、フルファネルでの体験設計もできるようになっています。では、可能性が広がったTwitterにLINEなど別のプラットフォームと組み合わせることができれば、どのようなことができるでしょうか?

崔は、「例えば、TwitterとLINEを連動させたキャンペーンを展開すれば、ひとりが複数のアカウントを時々に合わせて使い分けているため難しいとされてきた個別マーケティングの部分をLINEで実現する、ということもできるはずだ。こうしたソーシャルメディアプラットフォームの連動は、今後のマーケティングのひとつの流れになるだろう」としました。

また、そもそもソーシャルメディアをどうマーケティングで活用していくかについて、「その企業やアカウントがどのような課題を持っているのか、状況を把握することがまずは大切だ。目的が明確ならば、キャンペーンを展開するか、ソーシャルメディアの運用を丁寧にやっていくか、どちらが重要か定めやすい。

しかし、課題が明確でない、というケースは少なくない。そうした時には、Twitterをはじめとするソーシャルメディアの運用にこだわらず、俯瞰して『認知からファン化』までをどう考えるか、棚卸ししてみるのもひとつの手になるはずだ」としました。
顧客の価値基準が「体験(experience)」中心へと変わった今、いかに上質な体験を提供できるかが企業の持続可能性を左右するようになっています。そうした中で、顧客と最も簡単に繋がるソーシャルメディアを最適に活用することは、ビジネス成功の第一歩とも言えるでしょう。

電通デジタルは、クライアント企業とともに、ブランドと一人ひとりの顧客が永く繋がり続けるための“特別な関係性”を生み出す最良のCXを提供しています。

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