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「正しいことを大量に実行する」ことが重要 「SEOおたく」が率いるLANYに聞く、コンテンツマーケティングの成功のカギ

 自社の持つ知識などをWebメディアで発信するコンテンツマーケティング。自社の技術や経験・知識などをアピールして集客につなげる手法だが、Googleアルゴリズムに評価される質の高いコンテンツを提供することが求められるため、一定以上の工数や期間が必要となる方法だ。こうしたコンテンツマーケティングのよくある失敗や解決策、生成AIの使い方などについて、「SEOおたく」を自称する株式会社LANY 代表取締役・竹内渓太氏に取材した。

「正しいことを大量に実行する」ことがWebメディアの「正解」

—— はじめに、貴社の事業内容についてお教えください。

LANY代表取締役・竹内渓太氏(以下、竹内):「価値あるモノをインデックスさせる」をミッションに掲げ、SEOを中心としたデジタルマーケティング支援事業を運営しております。大規模ECサイトや不動産・求人ポータルサイトのようなデータベース型サイトから、特定のサービス・プロダクトの集客を担うオウンドメディアまで、幅広いサイトのグロースを支援しています。

LANY株式会社・竹内氏

株式会社LANY 代表取締役 竹内渓太
株式会社リクルートホールディングスのネットマーケティング室に新卒で入社し、求人サイトのSEOやデジタル広告運用、B2Bマーケティングを実施。その後、独立し、株式会社LANYを創業。SEOを強みとするデジタルマーケケティング支援のコンサルティングを実施。 「SEOおたく(@seootaku)」のSNSアカウントの中の人としても活動中。note

—— どのような課題を抱える企業からの相談が多いのですか?

竹内:「80点まではたどり着いたが、残りの20点が獲得できない」という相談が多いですね。SEOの基本や競合他社のベストプラクティスをすでに抑えている、SEOに詳しいクライアントが多いのが弊社の特徴です。そのサイトの領域では誰もやっていないことを実践するなど、独自性を出すオーダーメイド的な施策を提案して、残り20点を埋めるお手伝いをしています。

—— そうした企業では、何がボトルネックになっているのでしょうか?

竹内:コンテンツマーケティングで成果を出すためには、記事などのコンテンツがGoogleのアルゴリズムに評価されるものであることはもちろん、ユーザーにとって価値がある質の高いものであることも必要です。SEOメディアで結果を出すためにはこうした「正しいコンテンツ」をいかに迅速かつ大量に作成するかが肝要であり、当社ではこれを「正しいことを大量に実行する」と呼んでいます。

 「正しいこと」については、どういうコンテンツがアルゴリズムやユーザーニーズに合致するのか、という見極めができていない企業が多いように思います。また「大量に実行する」という点では各企業が抱えるリソースの問題が大きく、そもそものリソースが足りていない場合はもちろん、リソースはあるものの上手に使えていないという、リソース戦略がない企業も多いです。

 当社ではこうしたリソース戦略について、「最短最速で目的達成するためのリソースの最適配分」と定義していますが、この定義を実現できている企業はほとんどありません。「正しいこと」の見極めを我々のような専門家で行い、「早く大量に実行する」ことを先方と我々で協業して行うことが多いですね。

コンテンツマーケティング=中長期的な企業資産形成

—— コンテンツマーケティングに挑戦する企業が陥りがちな失敗があれば教えてください。

竹内:まず、十分なリソースがないまま始めてしまうことが挙げられます。コンテンツマーケティングは「オウンドメディアを構築して、そこに記事を入れていくだけ」と考えられがちなので、社員の片手間の工数で始められがちです。しかし、昨今ではそうした片手間でリソースを投下していったとしても、成果が出ることはほとんどありません。

 SEOは記事を書くことで一次関数的に成果が積み上がっていくのではなく、どこかのタイミングで指数関数的に跳ねる性質があるため、基本的に成果が出るには年単位の時間がかかります。何1つ成果が得られないことを避けるためには、専任の担当者をつけるなど本気で取り組む必要がありますね。

LANY株式会社・竹内氏

 また、成果が出ないために途中で諦めてしまうこともよくある失敗です。KPIを問い合わせなどに置いている場合だと、直接コンテンツから成果を出すのにはどうしても時間がかかってしまいます。途中で諦めてしまうと、流入数が増えてきたり狙ったキーワードでの検索順位が上がってきたりといったタイミングで、それまでの努力が無に帰することも起こりかねません。

—— そうした失敗に対しては、何が解決策となるのでしょうか?

竹内:コンテンツマーケティングは中長期的に投資をして、将来的に大きなリターンを返し続けてくれるという資産形成なので、会社全体として結果が出ると信じて投資を続けることですね。結果が出るのに早くても半年はかかりますし、現実的には2年くらい見るべきです。投資においてもとにかくコンテンツを増やすのではなく、正しいことを見極められる担当者をアサインするか、我々のような外部の専門家を入れることが重要です。

 途中で諦めることなくモチベーションを保つために、最終的なKGIから流入数や検索順位などのKPIにブレイクダウンして、最終的なKGIに向かっているかどうかレビューできるような評価設計をすることも重要ですね。

 個人的には、必ずフェーズごとにKPIを分けるべきだと思っています。最初は記事数やセッション数のような行動指標を置いて、最後にCVやCVRを見るという形が望ましいと感じています。最初からCVをKPIに置いてしまうと、短期的には評価されないので担当者のモチベーションも上がりません。担当者側が「成果を出すためにここまでは来ています」と言えるようなKPIを置くことを意識するべきですね。

—— モチベーションの管理と、継続的な投資が成功のカギなのですね。

竹内:こちらからの要望として、よく「1人は意思ある担当者をつけてほしい」とクライアントにお願いすることがあります。たとえば1年で結果を出そうとするのであれば、編集長のようなポジションでコンテンツに専念できる人が1人は欲しいですね。とくにいいコンテンツを作りたいという思いが強い「メディア愛」がある人と我々専門家は非常に相性がいいので、化学反応を起こして大きく跳ねる可能性があると感じていますね。

 意外と見過ごされがちなのが「企業側の体力」です。新規事業としてスタートして、「1年以内に利益が出なかったらやめます」といった状況でコンテンツマーケティングを始めて実際に利益を出すのは厳しいです。それならコンテンツにかける費用を広告に注ぎ込んだ方が早く成果につながるので、企業側としてどれくらいのスパン・人件費・予算が使えるのかによって、メディアをどこまで伸ばせるのかが大きく変わってきますね。

 コンテンツ側の予算に関してはかなり領域によって異なるのですが、たとえば月5本から10本記事を入れて、1年間で100本のメディアにするとなると、外注した場合は1本10万円ぐらいするので10万×100本=1000万くらい必要になります。そういう意味では、会社側にSEOへの理解があるかどうかも重要な要素です。

生成AIはフレームワークで活用

—— EEATを含めた直近の大型アップデートなど、SEOを取り巻くGoogleの姿勢も厳しいものになっています。

竹内:生成AIの登場で、これまで網羅性を出すのに人力で3時間かかったところが30分でできるようになりました。こうした状況でGoogleのアルゴリズムも大きく変わり、10月のコアアップデートでは独自性のないコンテンツが狙い撃ちされ、低品質なコンテンツを大量に保有しているサイトが全体的に押し下げられています。

 ただ正確な情報を網羅的に集めただけのコンテンツに価値がなくなってきたので、いかに独自性を出すためにリソースを使えるかが大事になりますね。その人や、そのメディアでしか発信できない情報を発信しなければ生き残れませんし、独自性のあるコンテンツを発信できればGoogleに評価されます。

 さらに、アップデート以降は、購買などに結びつく「出口」につながるサイトが上位を獲得しています。不動産関係なら内見予約ができるサイトや、中古車であれば購入まで行えるサイトですね。こうした「自社製品」がないと厳しい面はあります。

 情報そのもので独自性を出すには、専門家による慣習が入っていたり、情報ソースとしてアンケートモニターが1000万人いたりといった「そこでしか手に入らない情報」を盛り込むべきです。第三者がインターネットの情報をかき集めて書けるコンテンツサイトだと、生成AIを使えば同じことをよりハイクオリティかつ短時間でできてしまいますね。

—— SEOにAIを活用することは危険なのでしょうか?

竹内:生成AIの活用自体は大いに賛成です。文章を書かせるのはまだまだ時期尚早ですが、サイト訪問者の検索意図やカスタマージャーニーなど、クオリティを上げるためにも使える部分はあります。なので、生成AIと壁打ちをしながらより良いコンテンツにしていくといった、フレームワーク的な作業には積極的に活かしていくべきですね。

 そのうえで、個人・中小であれば自社にしかないプロダクトサービスを作るとか、自社にしかない強みや特性をきちんと構築することで、SEOもついてきたというストーリーの方が正しいと思っています。

 具体例としては、新しいプロダクトを提案したい人とそれをレビューする上司を作って、勝手に議論させながらこちらで意思決定をするという方法がおすすめです。新しいものを作る時にロールを与えて壁打ち「させる」という活用法もかなり使えると感じます。

「明日の正解」をつかめる人材とともに成長

—— 変化の激しい環境の中で、貴社ではどういった支援を行っているのでしょうか。

竹内:BtoBの記事であれば、「その企業にしか出せない情報」を入れることが独自性につながるので、営業がクライアントと向き合った時の声を使ったり、インタビューをした内容を記事コンテンツに入れるなどの提案を行っています。短期的に利益を上げるよりも、本質的な要素を実装することが重要だという考えで支援していますね。

 データベース型サイトでいえば、「SEOが勝手に強くなっていくような仕組み」を構築するなど、優位性を構築する施策を提案します。たとえばコンテンツユーザーが口コミを投稿できるように設計して、ユーザーが口コミを投稿すれば投稿するほどページも増えていき、ユーザーの「経験」が蓄積されるので、上位表示されやすくなるというものです。

 ハック的な小手先の施策ではアルゴリズムアップデートのたびに淘汰されていくので、独自性を出せる仕組みを作ることで、中長期的に盤石なサイトとなっていくよう支援していますね。

—— 具体的な支援事例を教えてください。

竹内:NTTドコモ様より「改善の方向性や施策要件が正しいか自信を持てない」という相談をいただいた際は、解決策に加えてその裏側にある根拠やロジックもしっかり説明させていただき、同社で注力しているクロール・インデックス周りの数値改善にも貢献できました。当社の支援前と比べて、インデックス数が130%増加したと伺っております。

 またオールアバウト様から「施策の量と質を同時に上げたい」とコンサルをご依頼いただいた際は、SEO改善だけではなくUX改善まで踏み込んだ施策を実行しました。3か月という期間でしたが、70%以上の施策で効果が出たことで、CV数は184%、セッション数は161%改善できました。

—— 最後に、貴社の今後の展望についてお聞かせください。

竹内:今後は顧客管理から人材支援までできるような企業になりたいと思っているので、デジタルマーケティングの戦術支援の幅を広げていきます。そのために人的リソースを増やしたいと考えているので、採用にも注力していこうと考えていますね。高いスキルセットがあるに越したことはありませんが、何よりも熱意を持って常に自分自身を磨き続けられる人を求めていきます。

 デジタルマーケティングの世界では、昨日まで正解だったことが今日から不正解になることが珍しくありません。マーケターにとって現状維持は衰退でしかないと思うので、常に最前線から情報を得る知的好奇心の高さがあり、自分も支援内容もアップデートしていける人ならば、我々とともに明日の正解をつかめると確信しています。


LANYは「価値あるモノをインデックスさせる」をミッションに掲げ、SEOを中心にお客様のデジタルマーケティングの頼れるパートナーとして伴走させていただいております。特に80点→100点の最後の一押しを得意とするエージェンシーで、オーダーメイドな分析と施策提案に強みがあります。デジタルマーケティングでお困りのことがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。

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編集後記

 日本SPセンターの調査(※1)によると、コンテンツマーケティングの成果を実感している企業はBtoCで約43%、BtoBで約63%にのぼる。同調査では企業全体の約7割がコンテンツ制作などを外注しており、とくにBtoB企業ではおよそ半数が外注で成果を上げているという結果も得られた。

 

 こうした成果について、竹内氏は「コロナ禍でSEOの価値に気づいた企業が多い」と語る。コロナの影響で広告出稿を止めてしまうとゼロ集客になってしまうこともよくある一方、SEOに取り組んでいた企業はオーガニック検索から集客できたことでしのげたという。竹内氏はこうした潮流についても「痛みか成功体験がないと、SEOへの思い切った投資は難しい」と実感を口にする。

 

 2008年のリーマン・ショック以降、2011年の東日本大震災や2020年のコロナ禍、2021年から現在まで続くウクライナ危機など、実体経済にも影響する出来事が頻発している。世界経済は不透明さを増す中、企業全体でコンテンツマーケティングに取り組むことは、集客の柱を増やすだけではなく「転ばぬ先の杖」を持つことにもつながりそうだ。

※1:コンテンツマーケティングを実施する企業の70%が業務を外注。「コンテンツ制作」以外の外注が成功のカギ

取材・構成:MARKETIMES編集部・中島佑馬

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