SaaS業界において、多くの企業が利用中のSaaSからの切り替えを望みながらも実行できていない現状が明らかになった。Miletosの最新調査によると、SaaS利用者の約69%がベンダーロックインの状態にあることが判明した。これは、利用中のSaaSを他の製品に切り替えたいにも関わらず、移行に必要なコストや作業負荷が高いために踏み切れない状況を指している。
特に問題となっているのは、経費精算SaaS、財務会計SaaS、人事SaaSといった分野で、利用者の不満が集中している。これらの不満が高い分野では、本来ならば市場競争によってサービス改善が促進されるべきだが、ベンダーロックインがそれを阻害している形だ。
調査によれば、ベンダーロックインの主な原因は移行コストであり、これには作業負荷、期間、および費用が含まれる。利用者が新しいSaaSに適応するためにはトレーニングやカスタマイズが必要となり、これがさらなる障壁となっている。
ただし、もしベンダーロックインが解消されることがあれば、利用者の97%が積極的にSaaSの切り替えを推進したいと考えているという。これは、多くのユーザーが現在の状況に対して強い変更願望を持っていることを示しており、市場における健全な競争とイノベーションを促すためにも、業界全体でこの問題の解決が求められている。
この調査は、SaaSがユーザーにとって重要な業務ツールである一方で、その利用環境にはまだ改善の余地が大きく残されていることを浮き彫りにしている。
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