ニューヨーク・タイムズは、記録的な購読者数を達成しているにもかかわらず、紙媒体とデジタル媒体の両方で広告支出が低迷したことを受けて、広告事業の改革を加速している。
同社の四半期の広告売上は1億600万ドルで、2019年第1四半期の1億2500万ドルから15%減少した。デジタル広告は前年同期比で8%減少し、紙媒体の売上は21%減少した。特に、高級品、メディア、エンターテインメント、金融の各分野で需要が落ち込んでいるという。
同社の最高執行責任者 (COO) であるMeredith Kopit Levien氏は、急速な景気後退を受けて、同社の広告事業を改革するために導入された3カ年戦略を 「加速」 させている。
同社は今後、ハイテク、通信、金融サービスなど、特定のカテゴリに限定された広告主の数を増やし、メディア支出を勝ち取ることに注力する。Kopit Levien氏によると、ニューヨーク・タイムズは既に、これらの顧客とのより大規模な契約交渉に成功してきたという。
「紙媒体でもデジタル媒体でも、従来のカテゴリーでは圧力(広告支出の不可抗力的な減少)が増していると言ってもいいと思いますし、この危機が続くと考えていいと思います。」と、彼女はコメントしている。
ニューヨーク・タイムズは、サブスクリプションモデルから収集したファーストパーティデータや消費者のインサイトを活用したプロダクトに引き続き投資するとともに、オーディオ事業にも力を入れる予定であるとコメントしている。ポッドキャストの売上は同四半期に30%増加したが、これは主にThe Dailyの成功によるもので、The Dailyは「広告主にとってさらに大規模で魅力的なプラットフォーム」になったとKopit Levien氏は述べている。
The Dailyとは、ニュースを音声で聴くことができるニューヨーク・タイムズのサービスのことを指します。
広告収入が急減したにもかかわらず、好調な読者数と購読者数は投資家にとってよりポジティブな状況を示した。同社は2月から4月にかけて、新規デジタル購読数を58万7,000件獲得し、第1四半期は同社の購読者数史上最高の四半期となった
現在、デジタルのみの有料購読者数は500万人を超え、デジタル媒体と紙媒体の合計購読者数は600万人を超えている。
「ニューヨーク・タイムズのビジネスモデルは、デジタル購読者の増加と広告への依存減少に注力しており、この嵐を乗り切り、パンデミック後の世界で成功するために非常に有利な立場にある。」とThompson氏は述べている。
【参考】
- New York Times reaches a record 6 million subscribers but ad revenue falls by double digits
- NYT ‘hastens’ transformation of ads biz as it braces for a 55% plunge in ad sales
- The Daily – The New York Times