カスタマージャーニーを描き、競争力を高める:「選ばれるブランド」になるための実践的手法

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The Customer Journey 「選ばれるブランド」になる マーケティングの新技法を大解説』(加藤 希尊著、宣伝会議社)の著者、加藤氏は、複雑に入り組んだ企業と顧客の間に潜むコミュニケーションの弊害や変化を「カスタマージャーニー」という概念、技法を活用してマーケティング施策に活かす事が重要だと述べています。本書では、カスタマージャーニーという概念の必要性や、具体的な考え方、カスタマージャーニーマップの作り方を紹介しています。顧客視点でマーケティングを捉える具体的な方法と事例が書かれているマーケティング関係者必読の書籍です。

 

カスタマージャーニーとは

本書ではカスタマージャーニーを下記のように定義しています。

顧客の一連のブランド体験を旅に例えた言葉。顧客がブランドや商品を認知し、購買、再購入する段階で、ブランドが提供する接点を行き来一連のプロセスを意味する。(128ページ)

またカスタマージャーニーマップは上記の概念を可視化した図で主にマーケティング活動の最適化のために利用される。またカスタマージャーニーコンセプトは、誰に対してどのような体験を提供したいかというカスタマージャーニーマップを描く上での元となる思想の部分の事を意味するとのことです。

カスタマージャーニーという概念が生まれた背景

本書では、まず初めにカスタマージャーニーという概念がなぜ生まれたのか、なぜ重要なのかを述べています。スマートフォンの登場により、消費者の行動はこの10年で著しく変化しており、企業がその変化に対応しきれていないとのこと。

また高度経済成長時代のように生産すれば売れる時代は終焉を迎え、現代においては、商品の差別化をいかに図っていくかが重要になってきているようです。しかし、現実は甘くなく商品やサービスの「同質化」や「コモディティ化」が進んでいるという。

企業間の競争は国内のみならずグローバルに広がっています。新製品を発売しても、国内外から競合商品が登場して、すぐにそのポジションが奪われてしまいます。機能で差別化できなくなる、商品の「同質化」や「コモディティ化」といわれる状況が短期間に起き、代わりになるモノが無数にあふれる状態に陥ってしまいます。

そして人口は、すでに減少の一途をたどっています。これから先、個人消費は停滞し、より一層顧客の奪い合いは激しくなるでしょう。

つまり、ゲームのルールが変わったのです。(3P)

カスタマージャーニーを考えるのは難しい?

顧客視点で自社の競争力を高めるには、カスタマージャーニーという概念を活用したマーケティング手法が重要であると著者は言う。その中で実際にカスタマージャーニーを自社で考えるにあたって、様々な疑問が出るでしょう。これは至極当たり前な事で、国内においては具体的にカスタマージャーニーに関するノウハウや情報を取得しにくい環境が一因です。著者はカスタマージャーニーマップを描く上で下記のような疑問がでるだろうと述べている。

・顧客視点の持ち方が難しい

・どこから始めていいかわからない

・顧客別にジャーニーをいくつも描く必要があるのか判断が難しい

・顧客接点を持つ部署が複数あるため全てのジャーニーを把握できない

・カスタマージャーニーマップの活用方法が不明確

(215P)

カスタマージャーニーマップの作り方

本書の後半では、具体的なカスタマージャーニーマップの作り方が丁寧にステップバイステップで述べられています。また旅行オンラインサービスを事例とした実際のカスタマージャーニーマップが掲載されており、カスタマージャーニーマップというものに対してのイメージが非常に分かりやすくなっています。ただし、プロセスに関しては非常にわかりやすく書かれているものの、実際に顧客ステージ毎の行動や感情、自社との接点などをアウトプットするには一定の時間やワークショップなどが必要なので、1時間や2時間で作れるというものではない印象を受けました。ただし、顧客を捉える上では「顧客について考える」時間はある一定確保した方が良いのでしょう。大きなステップは下記の通りです。

1.現在のカスタマージャーニーを描き出し、進むべき方向性を明らかにする

2.新しいカスタマージャーニーのコンセプトを作り出す

3.新しいカスタマージャーニーをつくる

4.最新技術でジャーニーを強化する

そして本書の中では、各プロセスの中で何をするべきかが具体的の述べられている。

さいごに

本書は、デジタルやWebだけでなくマーケティングに関わる全ての人にぜひ読んで欲しい書籍です。前半はどちらかというと現代のマーケティングの変化と特長をマクロな視点で解説しており、後半部分では、実際の有名企業30社のカスタマージャーニーコンセプトが図解で紹介されており、またカスタマージャーニーマップの作り方に関しても、かなり具体的な手法が紹介されています。Web上で閲覧できる情報と比較しても読んだ後に納得感と試してみようという気持ちになる内容になっています。国内の書籍の中においても、カスタマージャーニーというテーマでまずインプットしたいと考えているマーケティング関係者の皆様は本書をぜひ読んでみてください。

 

 

 

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